わが子の自殺を止めるために親ができること 「親子間コミュ障」に陥ってはならない

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娘との問答を通して、その子自身の言語能力が高いとはいえ、心の中に抱える本当の悩みを聞き出すことは、子どもにおそらく最も身近な存在(つまり、わが家では母親の筆者)であってもかなり難しいものだと思った。

筆者は仕方なく「止まない雨はない精神」で日々をしのぎ、7月も中旬に差し掛かった頃、やっと娘は「幼稚園に行きたくない!」と言わなくなった。「去年も一昨年も、大体これくらいの時期に喪が明けたな」なんて振り返りながら、時の経過以外の解決策が見つからなかった自分自身に今年もガッカリした。

5歳でもこれなので、思春期がやってきたらどうなってしまうのか。不登校になっていくのではないかと、今から不安でならない。一般的に、親は子どもの悩みを聞き出せないものなのか? それとも、筆者が親としての資質に欠けているのか?

筆者に欠けているものがあるとしたら、ぜひとも今のうちに学んでおきたい。その一心で子どもの悩み相談のプロに話を聞きに行った。

子どもSOS相談窓口って知ってますか?

子どもの悩み相談は国や自治体が民間企業に委託する。委託業者の中でもダイヤル・サービス(東京都千代田区)は、国が設置している「24時間子供SOSダイヤル」をはじめ、約40年にわたって数多くの相談窓口業務を運営している。

同社が請け負う子ども相談窓口で応対するスタッフは、スクールカウンセラーや臨床心理士などの資格を持ち、現場経験も豊富なスペシャリスト。今回は、日頃から電話やコミュニケーションアプリ「LINE」で子どもの悩みを聴いている相談員からいろいろ教えてもらった。

思えば、昭和後期生まれの筆者が小学生だった頃は、コミュニケーションツールと言えば家電(いえでん)くらい。いわゆる「黒電話」と呼ばれていた一家に1台の回転ダイヤル式電話しかなかった。

それは大抵、家族全員が集まるリビングなどの場所に置かれ、家庭内の公共性が極めて高いツールであった。そのため、「親に言えない話」をその電話を使って誰かに話した記憶はない。筆者(現在40歳)と同年代の読者は、おそらく同じ体験をしていることだろう。

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