スポーツ界のパワハラを「承認欲求」で読む

競技者だけでなく「指導者」にも光を当てよう

指導者の承認欲求が屈折した形であらわれる(写真:8213erika/iStock)
次々と発覚するスポーツ界のパワハラ問題について、『承認欲求』の著者・太田肇氏に、組織論の観点から語ってもらった。

鬱屈した指導者の「承認欲求」

日大アメフト部の悪質タックル問題を皮切りに、レスリング、ボクシング、体操、重量挙げなどアマチュアスポーツの指導者による暴力やパワハラが次々と告発され、2020年の東京五輪を前にしてスポーツ界に暗雲が立ちこめている。

レスリングでは強化本部長も務めていた監督が、自分の手元から離れた選手をほかの指導者が指導しないように圧力をかけ、「吉田沙保里の4連覇より、伊調馨が負けるところを見たい」という発言もあったと一部で報じられている。

また日大アメフト部の監督にしても、ボクシング連盟の会長にしても、自分に忠実な人だけを周囲に置き、逆らえないような空気をつくっていたといわれる。似たような言動は問題になったほかのケースでも報じられているし、表面化したのはおそらく氷山の一角にすぎないだろう。

そこで浮き彫りになったのはアマチュアスポーツ界の前近代的な組織体質であるが、背後にはパワハラにつながったもう1つの要因として、指導者の「屈折した承認欲求」が垣間見える。しかも、それは個人の問題というより、むしろアマチュアスポーツ界全体に根ざす問題だ。

次ページ指導者が自らの存在感を示す機会は乏しい
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