大坂なおみ優勝で「日本人」の定義は変わるか 同質性へのこだわりもいずれなくなる?

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セリーナ・ウィリアムズ選手を下し、全米オープン優勝を果たした大坂なおみ選手に、日本は大盛り上がりだが…(写真:Ben Solomon/The New York Times)

大坂なおみ選手が、日本生まれのテニス選手として初めて4大大会で優勝した。ハイチ系アメリカ人を父に、日本人を母に持つ大坂選手が優勝したことで、日本の昔ながらの人種についての感覚や、文化的なアイデンティティのとらえ方が問われている。

「日本人」の快挙を称える日本人

日本の若い世代は「日本人とは何か」に関して、より幅広い定義を受け入れるようになっているが、日本の保守的な層は、依然として日本民族を純血の観点からとらえる。それでも、日本のメディアは大坂選手の優勝を、日本の勝利として歓迎している。

産経新聞は9月9日の号外で「日本選手 初の快挙」と報じ、3歳の時にアメリカに移住した大坂選手が、トロフィーにキスしている大きな写真を掲載した。

安倍晋三首相もツイッターで大坂選手を祝福。「全米オープンの優勝、おめでとうございます。四大大会で日本選手初のチャンピオン。この困難な時にあって日本中に元気と感動をありがとう」とツイートした。「困難な時」とは、その前の週に西日本を襲った台風21号と、北海道地震を指す。

日本では、多くのファンが夜明け頃に起きて決勝戦を見守った。大坂選手のスポンサー企業の1つである日清食品の本社では、150人ほどの従業員が集まって観戦した。日清食品の安藤宏基社長は日本経済新聞に対して、「よくやってくれた。快挙。こんなに早くやってくれるとは、やっぱり半端じゃないね」と話した。

日本テニス界のスター、錦織圭選手もツイートで祝福した。トロフィーや拳、力こぶなどの絵文字のほか、日本の国旗の絵文字が散りばめられていた。

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