大坂なおみ優勝で「日本人」の定義は変わるか 同質性へのこだわりもいずれなくなる?

拡大
縮小

ドキュメンタリー作品『ハーフ(Hafu - the mixed-race experience in Japan)』の共同監督を務めた西倉めぐみ氏は言う。「『ハーフ』の人たちが公の場で日本を代表できれば、その人が日本人の頭と心を開いて、より日本人の受容性を高められるだろう」。

「この社会では、人は国籍や人種について限られた見方をしていて、1人の国籍や人種は1つであり、複数ではないと言う」。西倉氏は日本人の父親とアイルランド系アメリカ人の母親によって日本で育てられ、現在はニューヨークに暮らしている。「大坂なおみ選手は、国籍や人種は1人に1つだという古い考え方にとらわれている人たちに、非常に興味深い課題を突き付ける」。

インタビューは日本語と英語

大坂選手は日本人としてのアイデンティティを伸ばそうとしてきた。日本メディアとのインタビューで、彼女は日本語で質問に答え、漫画と緑茶が好きだと語った。

決勝戦での勝利のあと、大坂選手は優勝したことを謝り、日本人的な性格を見せた。ファンに感謝するときも、お辞儀をして頭を下げるという、日本では一般的な行為をした。

今大会継続してきた「我慢」のプレーで夢を1つかなえた大坂なおみ選手(写真:Chang W. Lee/The New York Times)

NHKとのインタビューでは、大坂選手は一部の質問に日本語で答え、残りは英語で答えた。ウィリアムズ選手を倒したことについては、寂しさとうれしさが入り混じった気持ちだったことを、日本語で答えた。しかし、TBSのインタビュアーが、4大大会を制した初の日本人となったことをどう思うか尋ねると、「非常に光栄に思う……。日本語でどう言うのかわからないけれど」と、ニューヨークのスタジオで、英語で答えた。

(執筆:Motoko Rich、翻訳:東方雅美)
© 2018 New York Times News Service

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT