大坂なおみ優勝で「日本人」の定義は変わるか 同質性へのこだわりもいずれなくなる?
だが、大坂選手へのお祝いムードを偽善的だと感じる人たちもいる。日本で「ハーフ」と呼ばれる、両親のどちらかが外国籍の人たちの多くは、自分たちは本当の意味で日本に受け入れられていないと言う。
「大坂なおみさんのことを日本人だ、日本人の誇りだ、って言う人達本当に気持ち悪いごめんな。こういう都合いい時だけハーフを日本人扱いすんなやん。普段は差別しまくっとるやんけ」。このツイートは9日の午後10時までに3600回リツイートされた。
「日本は同質性に誇りを持っている国」
3年前、アフリカ系アメリカ人と日本人とのあいだに生まれた宮本エリアナさんがミス・ユニバース日本代表に選ばれた時も、あまり日本人らしく見えない人を選んだとして、審判をインターネット上で批判した人たちがいた。
日本に14年間暮らしているアフリカ系アメリカ人のコラムニストで、ジャパンタイムズに黒人としての日本での経験を寄稿しているバイエ・マクニール氏は、日本での大坂選手への祝福は、人種についての実際の見方よりも進歩的なもので、現実はもっとひどいという。
「日本は同質性に誇りを持っている国だ」とマクニール氏は言う。彼によると、複数の文化を受け継いでいる女性がスポットライトを浴びることで、多くの日本人が落ち着かない状況に置かれたという。なぜなら、「自分たちはそんな立場を取っていないと誰もがわかっているのに、まるで、そうであるかのようなメッセージを世界に発信している」からだ。
しかし、ゆっくりとではあるが、日本は変わりつつあるのかもしれない。宮本エリアナさんがミス・ユニバースに選ばれた翌年には、父親がインド人の吉川プリアンカさんが、ミス・ワールド日本代表に選ばれた。