夏の甲子園が「夏フェス化」した必然の理由 人気を永続化させるために必要なことは何か

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実は今大会から、チケット料金は値上げされた(例:中央特別指定席:2000円→2800円、外野席:無料→500円)が、一日通し券でこの価格は安い。そして、値上げをしても観客動員は大きく拡大しているのだから、ビジネス視点で見れば、チケットの値上げはまだまだ可能ということだ。

チケット料金をもう少し上げて、さらに「午前券」「夕方券」という1日2種類のチケット販売で、さらなる収入拡大を図る。そうして生まれた財源を、日程緩和によってかさむ、選手の滞在費に充てればいいと思う。

出場校に支払われる滞在費は、開催要項によれば、1校20人(選手18人、責任教師1人、監督1人)を限度とし、旅費と1日1人4000円の滞在費が補助されるという(2015年まではさらに少なく3000円だった)。

まずこの金額の増額と、そして日程緩和によって増加する、勝ち残った高校の滞在費に、先の収入拡大を充てるのである。これこそ「プレーヤーズ・ファースト」の具現化ではないか。

何のためのビジネス拡大なのかは一考の価値あり

「夏の甲子園は教育の一環だから、ビジネス拡大は似合わない」という意見が根強いのも確かだが、「教育の一環だからこそ、プレーヤーズ・ファーストが必要で、プレーヤーズ・ファーストだからこそ、日程緩和が必要で、日程緩和のためにビジネス拡大するべきだ」と、私は主張しているのである。

なお、本原稿後半の提案は、甲子園開催を前提としている。フジロックフェスティバルの苗場のように、会場はフェスの価値の源泉だと思うからだ。ただし、他球場との併用はありうるかもしれない(2回戦以降、天然芝のほっともっとフィールド神戸を併用するなど)。

とにかく、「フェス化」もしながら、第100回に至るまで、ここまで多くの人を惹きつけてきたメガコンテンツ=夏の甲子園が、次の100年、次の世紀に向けて、さらに魅力を高め続けるために、新しい知恵が必要なのは確かだろう。なぜなら「酷暑」「酷使」の「酷」という言葉は、「プレーヤーズ・ファースト」の対義語だと思うからだ。

スージー鈴木 評論家

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すーじー すずき / Suzie Suzuki

音楽評論家・野球評論家。歌謡曲からテレビドラマ、映画や野球など数多くのコンテンツをカバーする。著書に『イントロの法則80’s』(文藝春秋)、『サザンオールスターズ1978-1985』(新潮新書)、『1984年の歌謡曲』(イースト・プレス)、『1979年の歌謡曲』『【F】を3本の弦で弾くギター超カンタン奏法』(ともに彩流社)。連載は『週刊ベースボール』「水道橋博士のメルマ旬報」「Re:minder」、東京スポーツなど。

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