「出産年齢」がアメリカ女性を分断したワケ 第1子を出産する年齢に地域で大きな差

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「ここの住民で高校から大学へ進学する人はほとんどいない。学位を取るとか起業するとか世界を旅行することなど誰も考えない」

経済的には苦労することもあるが…

モンタナ州ミズーラに住むセイディー・マリー・グロフ(28)が最初の子どもを産んだのは20歳のとき。子どもが欲しいと思っていたわけでもなければ結婚もしていなかった。

妊娠するまで大学に行くことなど、ほとんど考えたこともなかったと彼女は言う。だが今では、勉強する時間ができ次第、放射線医学技術で学位を取ることが目標だ。今は日中は3人の息子を育て、夜はホームヘルパーとして3時間働いている。

若くして母になってよかったこともあるとグロフは言う。「子どもたちの相手をするのにたっぷりエネルギーを注げるし、子どもたちが大きくなったときもまだそんなに年は取っていない」

もっとも経済的には苦労してきた。2人目を妊娠中には、一時的に若い母親の支援を行っている非営利組織(NPO)の施設に身を寄せたこともある。このNPOは子どもの保育や就職相談のサービスを提供しており、グロフは住居や医療について政府の援助を受けている。

研究では、子どもの生まれた環境が将来を左右する傾向が強まっていることが明らかになっている。グロフを支えた支援プログラムのような若い母親とその子どもたちへの支援、それに安く利用できる保育サービスや大学の提供といった政策があれば、状況を変えられるはずだ。ルイジアナ州立大学のラキンは言う。「子どもたちに最良の機会を与えることこそ(採るべき)戦略だ」。

(執筆:Quoctrung Buiグラフィックエディター、Claire Cain Miller記者、翻訳:村井裕美)
(c) 2018 New York Times News Service

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