お金がない文系50代でも「医者」になれる方法 社会人は「面接」と「小論文」が有利

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この「地域枠」で受験すると、一般の出願よりも受かりやすいともいわれていますので、元から「地域医療」に興味がある人には、うってつけの受験枠といえるでしょう。

ここで言う奨学金は、自治体による奨学金の一種だと思ってください。

地域医療振興協会の公式サイト「へき地ネット」を見に行けば、ほとんどの大学の「地域枠」と奨学金の有無や額がわかります。

なお、出願条件(出身地制限の有無など)や貸与条件は大学によって異なり、かなり複雑なため、志望大学のホームページで調べたり、その大学の入試課に確認したりすることをおすすめします。

なお、この「地域枠」とは、いわゆる“ひも付き”の制度でもあるので、デメリットになりうることも挙げておきましょう。

[デメリット]勤務先や所属する科に大きな制約がかかる(一定期間)。約束(指定の条件)を破ると奨学金の返還義務が生じる。

大学に進学してから、医療のいろいろな現場を見るかと思います。その後で進路を変更したくなっても、勤務地だけでなく、勤務先の病院や所属する科を、自治体などの他者に決められてしまうので、卒業後何年間かは身動きが取れなくなってしまうことが大きなデメリットといえるでしょう。

この「地域枠」の出願条件を守らなかった場合、貸与された奨学金の返還義務が生じます。

国公立大医学部の学費(350万円ほど)であれば、医者として働きながら十分に返還できる額でしょうが、私立大医学部の場合は、額が額なので返還は相当大変です。

ですので、確かに「地域枠」は医学部に受かりやすくはなるのですが、柔軟なキャリアを構築していくという意味においては諸刃の剣であることを理解しておいてください。

それでも、今は上京しているけれど、地元が大好きで、いつかは地元のために働きたいと思っている会社員の方には、ぜひ選択肢として考えていただければと思います。

学力の壁を壊す「スライディング合格」戦略とは?

私は、大学受験の際にも、キャリア・シフトを図る際にも、決して欠かすことのできない要素があると思っています。

それが「戦略」、つまり目標達成のための中長期的な方針です。

受験勉強では1〜2年のスパンで考えていきますが、最終到達点、つまり合格から逆算した学習方法が最も重要となってきます。

とりわけ、医学部入試は、他学部の入試と異なり、かなり複雑化していますので、戦略の立て方で合否が変わってしまうといっても過言ではありません。

私は、こと大学受験に関しては、「スライディング合格」という戦略をおすすめしています。

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