医学部2次試験は従来、1次試験の補完的要素が強いと言われてきた。つまり、ペーパーの学科試験をクリアしさえすれば、あとは小論文試験や面接試験で「?」がつかなければ成績順に合格、という具合である。
しかし、ここ数年多くの受験生を指導する中で、明らかに従来とは異なる様相に少なからず出くわすようになった。補完的どころか、2次試験で、「逆転合格」する受験生が出てきたと思われるのだ。ことに今年の入学試験においては、指導の過程で、そのような気持ちがどんどん強くなっていった。筆者の目からみると、そういう稀有な逆転のケースは難しい面接を課している大学で散見される、ということも明らかになってきた。
今回は、医学部入試で以前にもまして重視傾向が高まりつつある面接試験の具体的な題材を通じ、なぜ今、面接試験がそれほどまでに重視されるのか、医学部の面接試験ではいったい何が問われているのか、その実情、背景に迫る。
実際に最終面接で問われた問題
今年の医学部入試で問われた最新の入試情報分析の前に、まず普遍的な問いとして、「面接の本質とは何か」について考えてみたい。医学部入試に限らず、面接試験は就職試験でも重要な位置付けであり、面接という土俵で問われる本質には共通項も多い。課された問いにどう答えるかという点では、実は両者には共通項があるのだ。面接試験の根底にある本質的部分でどのようなつながりがあるか。まず以下の問題を考えてほしい。
〈問題〉
「あなたは働き始めて数カ月が経ったばかりの新人である。明日は土曜日で待望の休み。新人ということでやぼ用を任され、長い間休めていなかったが、この日は交際している彼女と1カ月前からデートの約束もしていた。ところが、金曜日の夕方退社間際に、上司から『申し訳ないが明日、臨時に出社してもらえないか』と伝えられた。さて、あなたはどうする」
この問題は、就職人気ランキング上位の企業の最終面接で、社長から問われた問題である。もう何年も前のことだが、当時、一般教養を指導していた大学生が実際に問われたのだが、医学部入試でも問われそうな問題だ。その場合、「あなたは働き始めたばかりの新人ドクターである」、とでも主体を変えて出題されそうだ。さて、どう答えるのが良いか。
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