「Apple 京都」が世界最強の店舗といえるワケ アップルは店舗のあり方も再発明した

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パリのオペラ座前の築130年の建物を改装してつくられたアップル直営店(写真:アップル)

歴史的建造物を、その特徴を残す形で改装することでランドマーク的価値をつくっている店舗も多い。2002年に開業した1920年頃の郵便局の建物を改装したニューヨークSoHo店を皮切りに、20世紀初頭のエドワード朝時代につくられたビルを改装したロンドンのリージェントストリート店(2004年)、同じくロンドンのコヴェントガーデンの空間と一体化した店舗(2010年)、パリのオペラ座前の築130年の建物を改装してつくられた店舗(2010年)などが有名だ。

新築のモダンな建物で街に新しいランドマークを生み出しているケースも少なくない。多くは地上に突き出したガラスの構造体が、地下に広がる店舗への入口となっているパターンで、その入り口がモダンでフォトジェニックなため、観光客の記念撮影スポットにもなっている。2006年開業のニューヨークのFifth Avenue店を皮切りに広まったが上海店(2010年)、トルコのApple Zorlu Center店(2014年)などは幾多の建築賞も受賞しており、大きな注目を集めている。

もっとも、アップル直営店のすべての店舗がこうした大型旗艦店ではない。アメリカにある270近い店舗の大半は、アップルをより身近なブランドにするためにつくられた小~中型の店舗だ。直営店事業は開始直後、旗艦店をつくる一方で、人口密集地から15マイル以内に少なくとも1店舗はテナント入居型の店舗を展開する戦略を取っていた。

日本のアップル直営店の状況は?

ちなみに日本はアメリカ以外では初の店舗となった銀座店ができた国だが、その後、大阪の心斎橋、名古屋の栄、福岡の天神、仙台の一番町、東京の渋谷、そして北海道は札幌に店舗ができた後はしばらく動きが止まり、その間に店舗数で中国(41店舗)、英国(38店舗)、カナダ(20店舗)などに抜かれてしまった。アーレンツがアップルに参画した直後の2014年に、久しぶりの新店舗が表参道に開業するも、2016年には入居していたビルとの問題で札幌店が営業を終了と一進一退の状況が続いていた。

今年になってようやく再び動きが活性化している。4月には、Town Squareのコンセプトを日本で初めて採用したApple 新宿がオープンしたのに続き、8月25日にApple 京都がオープン。さらにアップルにしては珍しく年内に加えて国内にもう1店舗を開業すると予告している(改装中の渋谷店との見方が強い)。

消費者が急速にEコマースに舵を切り始めている日本でも、果たしてアップル小売りビジネスの神通力は通じるのか。

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