「Apple 京都」が世界最強の店舗といえるワケ

アップルは店舗のあり方も再発明した

日本国内の店舗は、すでにあるビルにテナントとして入居しているケースが多いのでさすがにここまでの開放感は出せない。それでも「Translucent Envelope(透明の包み)」をモチーフに歩道に面した外装はほぼガラスのみ。店の中を一切包み隠さず見せるつくりになっている。最新の「Apple 京都」も、このスタイルだ。

一方、お店のソフトウェア、つまり店内での体験で中核をなすのが「Today at Apple」と総称される日替わりイベントだ。「アートとデザイン」「写真とビデオ」「音楽」「プログラミング」「ビジネス」「教育関係」「製品情報」などさまざまなテーマについて学べる無料のイベントだ。iPhoneの基本操作が学べるイベントもあれば、うまい写真の撮り方を学べるもの、地域のクリエイターを招いて開かれるプロのデジタル表現の講座など幅広いテーマが用意されている。

「今日、企業には大きな責務が課されている。会社が大きければ大きいほど、その責務は大きい」。アーレンツが2016年、アメリカのフォーチュン誌の公開インタビューで語った言葉だ。アップルではつねに地域コミュニティーが何を必要としているかを注視している、と彼女は付け加えていた。

直営店の基本ソフト「Today at Apple」

今や生活の道具となったスマートフォンやパソコンだが、その真価を存分に発揮できている人は少ない。これらを日々の生活や仕事にどう生かすかを学んだり、新たなスキルを獲得したり、新しい人とつながったりするための場――これが直営店の基本ソフト、「Today at Apple」が果たす役割だ。

今後つくられる直営店はすべてこのイベントを中核とした設計になり、それ以外にもいくつかの基本要素を共有する。

アップル本社敷地内にあるカフェ併設の直営店「Apple Park Visitor Center」のForum(筆者撮影)

たとえば「Forum」、これはほぼ全ストア共通の基本要素だ。「Forum」は実際に「Today at Apple」などのイベントが開かれる場所のことだ。新型店舗では6Kのビデオウォール(巨大スクリーン)の前に、アップルが独自開発し特許も得ている高級イタリアレザーの立方体チェアを並べ、人々がカジュアルに集える場を作りだしている。ビデオウォールは、イベントをやっていない間は直近のイベント情報を含む各種のお知らせや、MacやiPadを使って作品をつくるアーティストのデジタル作品などが表示される。

「Avenue(通り)」は壁際に並べられた商品をウインドーを眺めるようにして楽しめるエリア。

アップル製品を法人導入する顧客向けの商談部屋「Boardroom」(筆者撮影)

一部の大型店舗には「Boardroom」と呼ばれる応接室もある。ここはアップル製品を法人導入する顧客向けの商談部屋だ。

さらに大きく店の外周エリアまでを敷地にした店舗には「The Plaza(広場)」と呼ばれるエリアがあり、公共の公園のように誰もが自由に座れるイスやテーブルが置かれる。

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