39歳で現役復帰したバスケ元日本代表の覚悟 渡邉拓馬が「3×3」で東京五輪を目指す理由

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渡邉にとって、この挑戦にネガティブな要素は1つもない。つねにバスケ界のことを想ってきたからこそ、この決断に至ったのだ。

「やるからには本気で臨まないと意味がない」と話す渡邉は、ちょうど東京オリンピックから3×3が正式競技種目として採用されたこともあり、大舞台での代表入りを目標に掲げ、新たな挑戦に踏み切った。

東京五輪への第一歩を踏み出す

3x3.EXE PREMIER 2018は、6月9日に開幕を迎えた。しかし、そこに渡邉の姿はなかった。やはり、試合に出るまでのコンディションを取り戻すには、予想以上に時間が必要だったのだ。

「どうしても年齢との戦いは避けられない。だから40歳前後で活躍しているいろんなスポーツ選手の本や動画を見て研究し、現役中とは違うことにチャレンジしたんです」と渡邉。

「ボールも触りたくなかった」という1年半前と違い、目を輝かせた少年のような姿が、そこにはあった。オリンピックという新たな夢が、40歳を迎える体を突き動かす。

そして、約2カ月の調整期間を経て、迎えた8月5日。念願の3x3プレイヤーとしての公式戦デビューを飾った。会場には5人制時代の渡邉を知るファンが殺到。名前をコールされた瞬間、大声援が沸き起こった。

チームメートを鼓舞した渡邉拓馬(筆者撮影)

この日は全4試合に出場。初戦ではレイアップシュートで初得点を記録し、得意の2ポイントシュート(5人制では3ポイント)も決めて見せた。

得点に関して渡邉は「よく入ってくれましたね。ちゃっかりゴールを量産するシーンも描いていましたが(笑)」と笑顔で振り返った。

チームとしても、優勝という最高の形でデビュー戦を締めくくり、3x3での手応えをつかんだ渡邉。試合を通じて「今の自分がどこまでできるのか。そういう部分は感じることができた」と感想を述べると、「ただ納得はしていないので、定期的に良いパフォーマンスを見せられるように頑張ります」と今後の抱負を述べた。

東京オリンピックに向け、第一歩を踏み出した渡邉。

バスケ普及だけでなく、「同世代の方に勇気を与えたい」と話すなど、今はモチベーションに満ちあふれている。2020年の同大会を迎える時には、なんと41歳だ。実際に出場できるのか、体がそれまでもってくれるのかはわからない。

それでも、彼は限界まで挑戦し続けるだろう。そして待つ。渡邉自身はもちろん、同世代やファンも、そして筆者も、大舞台で躍動する姿を描きながら。

(文中敬称略)

佐藤 主祥 フリーライター

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さとう かずよし / Kazuyoshi Sato

1991年、宮城県生まれ。新聞の専売社員、マスコミ系の専門学校を経て、独立。スポーツや新しい働き方を中心に、取材・執筆活動を続けている。学生時代は卓球部に6年間所属し、団体戦・個人戦で県大会出場を経験。野球を観ながらお酒を飲むことが何よりの喜び。

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