39歳で現役復帰したバスケ元日本代表の覚悟 渡邉拓馬が「3×3」で東京五輪を目指す理由

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「社長含めチームのフロント側には、バスケを知らない人が多かった。選手の気持ちを共有したり、試合内容やコート上の温度など、バスケに関するあらゆる情報を伝える必要があったんです。そうしないと、来シーズンの年俸や契約をするかどうかの決定など、すべて試合の結果や数字だけを見て判断してしまっていた。

たとえ試合に出ていなくても、チームに貢献している選手はたくさんいます。チームというのは、4番バッターだけがそろっていても勝てません。裏でサポートしてくれている選手がいるからこそ、結束力が高く強いチームへと成長していく。このことを伝えることが、現場を知っている僕が果たすべき役目だと思ったんです」

これは渡邉自身、現役時代から感じていた疑問だった。今後のバスケ界のことを考え、すぐにでも改善すべきだと、フロントとのパイブ役に徹した。現在は、プロリーグに参入したことで、現場の気持ちを知ろうと努めるスタッフが集まる“選手ファースト”のチームへと生まれ変わったが、渡邉のパイプ役としての功績があったからこその“今”だと言える。

バスケ普及のために、3x3での現役復帰を決断

2017年10月、渡邉にとってのある転機が訪れた。アルバルク東京が、立川ダイスと地域活性化を目指して相互協定を締結したのだ。

そのきっかけは、本拠地として使用していた国立代々木第二体育館がオリンピック関連による耐震改修工事に入ったことにある。アルバルク東京はホームを失い、都内で使えるアリーナを探した。そして見つかったのが、立川市の「アリーナ立川立飛」だった。

同市にあるプロチームが3人制の立川ダイスだったため、同じバスケとして一緒になって地域を盛り上げようと、両チームでタッグを組むことになったのだ。

そしてある時、立川側からこんな話が出た。

「アルバルク東京の選手が、オフシーズンに3x3に参加してくれたらいいですね」。

万が一怪我をしてしまう可能性を考えると、選手にそういう機会を与えるのは難しい。そう考えた時、渡邉は、ふとこう思った。「出られるとしたら僕しかいない」と。

レイアップシュートを放った渡邉拓馬(筆者撮影)

39歳という年齢で、1年間のブランクを取り戻すのは想像以上に難しい。それでも、新天地での現役復帰を目指すことを決断した。その理由について、渡邉はこう話す。

「僕が5人制と3人制の両方を経験することで、もっとバスケの普及に貢献できるんじゃないかと考えました。

たとえば、僕が3x3に挑戦することにより、アルバルク東京のファンが“渡邉さんがいるから観に行こう”って3人制に興味を持ってくれたり、逆に立川ダイスのファンがアルバルク東京の試合を観に来てくれたり。そういう相乗効果が生まれたら、両方のチームが盛り上がり、バスケ界のさらなる活性化が期待できますから」

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