オウム真理教は幹部死刑執行でも終わらない

後継団体の不気味な動きや海外での摘発も

麻原の遺体は3日後に火葬された。が、その遺骨の引取先をめぐって今、一時対立していた麻原の妻と三女が協力し、法務大臣に引き渡しを要求するなど騒動に発展している。

麻原逮捕後のオウム真理教は、妻が支持する後継団体「アレフ」(信者数約1470人)と、そこから分派した上祐史浩・元教団幹部主宰の「ひかりの輪」(同150人)、非主流派が結成し三女がかかわるとされる「山田らの集団」(同30人)がある。3団体の拠点は15都道府県に35施設、保有資産は12億円近いというから驚きだ。

このほかロシアや東欧諸国を中心に今も数千人の信者が活動しているといわれ、最盛期に1万数千人(海外を含めると3万人以上)いたとされる信者が、麻原逮捕後1000人を切るまでに落ち込んでいたはずの教団の、最近の復活ぶりが目立っている。

拙著『オウム真理教事件とは何だったのか?――麻原彰晃の正体と封印された闇社会』でも詳しく述べているが、公安調査庁や警視庁公安部によると、一連のオウム事件を知らない20代から30代前半の若者を中心に、オウム後継団体の信者が増加。祭壇に麻原の写真を掲げ、事件前に唱えられていたオウム真理教の教義を復活させるなど、麻原への帰依が強まってきている。

公安当局が国内の「アレフ」道場で押収した勧誘マニュアルを見ると、最初はインターネット交流サイト(SNS)で人生相談に乗り、ヨーガサークルへの参加を募って入信させる。その段階では教団名も麻原の存在も明かさないが、修行が進むにつれて麻原の説法をDVDで何度も見聞きさせるなど、オウム復活を堂々と打ち出していた。

また、新實智光ら4人の死刑囚と女性信者の養子縁組や結婚を進め、元幹部らの知名度を利用して組織強化と若者層の囲い込みを狙っている。

さらに、麻原の三女が2007年から東京拘置所で元教団幹部の死刑囚4人と定期的に面会し、差し入れの書籍を回し読みさせることで、「教団に強い影響力を持つ人物(麻原等)の意向を伝達し、密かに意思疎通を図っていた」(法務省幹部)ことが判明しており、こうした不穏な動きが起きつつある情勢に、公安当局も三女の行動を中心に3団体の施設や教団関係者の動向を監視するなど警戒を強めてきた。

モスクワとサンクトペテルブルクで強制捜査

当局が特に注視しているのが、ロシアなど海外諸国の残党たちである。

ロシア内務省は2016年4月5日、ロシア2大都市のモスクワとサンクトペテルブルクでオウム真理教の後継団体「Aleph(アレフ)」に対する大規模な捜索を行い、信者や幹部の住居など計25カ所を特定し、強制捜査に及んだ。そのうち、サンクトペテルブルクでは集会を開くなどしていたロシア人信者ら約10人を拘束したとされているが、詳細は公表されておらず、不明のままである。

ロシア政府は1995年3月、国内におけるオウム真理教の宗教活動を禁止した。同月に東京で起きた地下鉄サリン事件を受けた措置で、国内で増大するロシア人信者数に危機感を強めていた結果とみられている。

次ページロシア人信者の手で密かに教団が再結成されていた
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