「ランサムウエア」の脅威はまだ続いている

対処ソフト登場だが問題は企業のリスク意識

ランサムウエアが暗号化したファイルの復元に、ビットコインの支払いを要求している(画像提供:三井物産セキュアディレクション)

人知れずパソコンに感染し、重要なデータやファイルを使えない状態にされ、しかもそれを解除するための“身代金”を要求される――。コンピュータウイルス「ランサムウエア」の脅威はすさまじい。

ランサムウエアによる被害報告で代表的なものが、2017年5月ごろから感染が流行した「WannaCry」だ。世界150カ国30万件以上の被害があったとされ、日本国内でも日立製作所など大企業を含め、21件の感染が確認されている。2017年に発生したサイバー攻撃のうち、ランサムウエアによるものが半数を超えるという。

1分間に40万行を暗号化

「WannaCryの流行の後、全体的に落ち着いてきたようだが、今でも標的型や仮想通貨を狙うタイプのランサムウエアなど新種が増えている」と、セキュリティソフト大手・デジタルアーツのプロダクトマネージャーである遠藤宗正氏は指摘する。

あらゆるモノがネットにつながるIoTの広がりに伴い、IoT機器を標的としたランサムウエアによる被害も増えている。国内でも、日本に割り当てられたIPアドレスを発信元とする、IoT機器を標的とした動きが急増しているようだ(警察庁「平成29年中におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」、2018年3月22日)。

今月もiPhone向けの半導体を製造する台湾のTSMCが、ランサムウエアの感染で一時的に生産停止に追い込まれた事例があったばかりだ。

ランサムウエアとは、「ransom」(身代金)とソフトウエアの2語からの造語。パソコンやスマートフォンなどの端末内に保存されているデータやファイルを勝手に暗号化して使えない状態にしたり、その端末と接続された別のストレージのデータも暗号化したりする。そして、それを解除するための身代金を要求する。ランサムウエアに一度感染すると、1分間のに40万行を暗号化されてしまうという。

次ページランサムウエアは検知が難しい
ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 最新の週刊東洋経済
  • 近代日本を創造したリアリスト 大久保利通の正体
  • 賃金・生涯給料ランキング
  • 戻りたくなる組織の作り方
トレンドライブラリーAD
人気の動画
ウエルシアがイオンと挑む「ドラッグストア飽和」打破の勝算
ウエルシアがイオンと挑む「ドラッグストア飽和」打破の勝算
東芝、会社「3分割」に残る懸念
東芝、会社「3分割」に残る懸念
約10年で3000店が消滅、「町の本屋」の切実事情
約10年で3000店が消滅、「町の本屋」の切実事情
企業同士の取引で「値上げラッシュ」が起きている
企業同士の取引で「値上げラッシュ」が起きている
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
「非財務」で生きる会社、死ぬ<br>会社 企業価値の新常識

今や株価を決める最大の要因は「非財務情報」というのが世界の常識に。優れた開示を行えば企業価値の向上につながる一方で、開示が不十分だと株を売られるリスクも。企業価値の新常識をめぐる混乱とその対処法に迫りました。

東洋経済education×ICT