「トルコの次は中国経済がヤバイ」は本当か 「中国バブル」は、そろそろ崩壊する?

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高金利通貨と言われるものは「資産」の段階でもうだめですし、まして経済力となればもう吹けば飛ぶようなもので、国家権力も安定していませんし、円と比較する資格すら有しません。

こんなものを売っていて「投資は自己責任」などと言われてしまうのもどうかと思いますが、投資家保護の観点からはこういう事実をきちんと説明することが必要でしょう。つまり「今は高金利でもうかりますが、最後は危ないですよ、だから安いんですから」と、銀行員や証券マンがきちんと説明する……わけないですよね、現実は。

世の中、ハイリスクハイリターン。ノーフリーランチ。この機会に肝に銘じておきましょうね!

中国経済は本当に大丈夫なのか?

「じゃあ、ついでに中国はどうなんだ」、というご質問も最近よく受けるのですが、あそこは習近平国家主席がどうするかをすべて決定できるので、そもそも危機になりようがありません。

いくら危機に見えても「これは中国政府が管理するので危機ではない」、と言い切るに決まっています。ですから中国の場合は、その中国政府の管理が不能になるほどの巨大な危機が迫りくるまでは、なんてことはないわけですね。

もう1つのシナリオは、習近平が常識外の行動をとる、というリスクです。たとえば今「破綻するのでは……」と問題になりはじめた、政府系金融機関などの企業に対する融資については、表面上中国政府が返すようなことを言っていますが、契約書を見てみると、保証するなんて文言は例によって一言も書いてありません。つまり契約書上は保証する必要はまったくない。ただ、民間企業ではない政府系企業や地方政府あるいはそれに準ずる組織についてはレーティング会社も結構高い格付けを付けたりしていて、西側の金融機関が融資している、というケースはかなり多いと見られています。

まさに怖いのはこういうケースで、「さすがに政府系企業は見捨てないだろう」、と信じ込んでいると危険ですよ、ということです。「だって保証なんてしてないもん」、と習近平が言い出す可能性は高いと私は見ていますが、今のところ市場はまったく無警戒です。危ないのはこういうケースなんですね。実は中国は過去からこういう事例には枚挙にいとまがなく、突如のルール変更で撤退を余儀なくされた(=大損をした)日本企業は多数あります。

一人の権力者が何でも決められるような国にお金を置いておきたい人がいるわけもなく、外に持ち出せる富裕層はなんとかして資産を持ち出し、海外に持っていこうと必死の努力をしているわけです。そんなときにわざわざ飛び込むのは……「飛んで火に入るなんとやら」、であります。くれぐれもご注意ください。

(コラムはここで終了です。競馬予想コーナーは夏期期間中、原則お休みとなります。ご了承下さい)

ぐっちーさん 投資銀行家

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ぐっちーさん ■本名:山口 正洋(やまぐち まさひろ)。投資銀行家。1960年東京都港区生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。丸紅を経てモルガン・スタンレー、ABNアムロ、ベア・スターンズなど欧米の金融機関を経て、ブティック型の投資銀行を開設。M&Aから民事再生、地方再生まで幅広く ディールをこなす一方、「ぐっちーさん」のペンネームでブログを中心に大活躍。2007年にはアルファブロガーを受賞、有料メルマガも配信中。さらに『AERA』や『SPA!』で連載をもちつつ、テレビやセミナーでも人気。主な著書に『なぜ日本経済は世界最強と言われるのか』(東邦出版)、『ぐっちーさんの本当はすごい日本経済入門』『ヤバい日本経済』(後者は共著、いずれも東洋経済新報社)などがある。競馬予想も一流。一方でメインレースはほどほどで、平場の条件戦などを好む。【2019年9月29日19時編集部追記】2019年9月24日、山口正洋さんは逝去されました。ご逝去の報に接し、心から哀悼の意を捧げます。

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