片や、経済学者をはじめ研究者には、特定の企業や団体との利益相反関係については申告する義務がある。利益相反の可能性がある場合は、論文の投稿を認められないというケースもある。たとえば、たばこ会社の研究助成を得たたばこに関する研究は、疫学や公衆衛生分野の学術誌に投稿できない。
筆者は研究者こそ、中立性、客観性の高い情報発信の主体となれると考えている。経済学者による情報発信は、一般読者にとってメリットとなるはずだ。
研究成果を明快な解説で世に届けるべき
研究者は論文を発表することに心血を注いでいる。できることなら、研究者の汗と涙の結晶である論文そのものを読んでほしい。しかし、そのハードルは多くの人にとって相当高いものにならざるをえない。
まず、英語で書かれている。そして、専門用語が注釈なく使われている。経済学の場合は数学的表現も多い。となれば、学術論文を難なく読める人は一握りとなる。つまり、広く知られることはない。
せっかく中立性、客観性の高い情報を持っているのに、その知識やデータが社会に広く共有されることがないとは、実にもったいない話ではないだろうか。
研究者が自身の研究をわかりやすく解説し、よりよい社会や政策をつくるガイド役を担うことは、必要なことのように筆者には思える。近年は、国際的に顕著な業績をあげる経済学者が、積極的に研究成果について発信し、政策形成に影響を及ぼすことも少なくない。
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