「住宅ローン」で大損しかねない5つのワナ 不動産会社・銀行・FP…信じるべきは?

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Dさんには、妻が働くことを試算するよう提案しましたが、「結婚するときに専業主婦になることを了承した」という理由で、妻が働くパターンを考えようとしません。状況が変われば、妻が働くかどうかは夫婦で改めて検討すべきかもしれません。ここで、家を買うことを優先するのか、妻の専業主婦でありたいという希望を優先するのか、夫婦で話し合うだけでも、将来の資金繰りに対する姿勢が変わってきます。

今どき妻が専業主婦前提なんて、生活設計としておかしいだろうというツッコミもありそうですが、東京、神奈川で相談を受けていると一定の割合で同様の相談に出くわします。何が何でも妻が働かない体制を維持しようとすると、結果的に希望通りの家を買えないどころか、いつか家を買いたいというささやかな夢自体つぶすことにもなりかねません。

マイホーム購入の際、最も信じられるのは自分

筆者は、不動産会社や銀行など販売側ではないFPとして相談を受けているため、「買わないほうがいい」「予算が高すぎる」「この予算で買うと将来苦労する」ということを、真正面から相談者に伝えています。結果として購入を考え直すケースもあります。

一方、不動産会社が紹介する「業者お抱えのFP」であれば、「家は買えない」というアドバイスは存在しませんので、年収の10倍の価格の家であっても、住宅ローン審査が通るのであれば、多少返済がきつくても十分に返済可能として、ひとごとのようなライフプランができ上がってくるのです。

最後に、番外編として住宅ローンを借りた最悪な末路3つをお伝えしたいと思います。1つは、あこがれのマイホームを買ったのはいいが毎月の支払いがきつく、お金が原因で家庭内がギスギスしてしまう「家庭内不和」が発生するケース。一歩進んで離婚となる夫婦も一定数存在します。もう1つは、子どもの大学などの教育資金と住宅ローンの支払いに耐えられず、貯蓄が底をついてしまう「ゆでガエル」ケース。そして、3つめは、住宅価格が収入に見合わず、老後資金を貯めることができない「老後破綻まっしぐら」ケースです。

手元資金がなくなっても住宅ローン支払い中の場合は、自宅を強制的に売却することになります。住宅ローンの支払いが終わっていても、生活保護など公的福祉の認定を受けるにも、自宅を売却し、その資金を使っても生活ができない場合に限られます。

マイホームを購入する際には、不動産会社や銀行、FPに大丈夫だと言われたからと安心せず、自らしっかり考えて納得した予算で購入し、ローンを組むことが不可欠です。ほとんどの人にとって人生最大の買い物であるマイホーム。後悔のないように自ら積極的に調べ、比較し、考えることは怠りたくないものです。

高橋 成壽 ファイナンシャルプランナー

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たかはし なるひさ / Naruhisa Takahashi

寿FPコンサルティング株式会社代表取締役。慶應義塾大学総合政策学部を卒業後、金融系のキャリアを経てFPとして独立。お金を増やす、お金を守るという視点でFPサービスを提供。30代40代の財産形成、50代60代の資産運用、70代以降の相続対策まで幅広い世代に頼られている。「ライフプランの窓口」を企画運営。著者に『ダンナの遺産を子どもに相続させないで』(廣済堂出版)がある。日本FP協会認定CFP。

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