「住宅ローン」で大損しかねない5つのワナ 不動産会社・銀行・FP…信じるべきは?
1億円を35年ローンで金利0.5%の変動金利で借り入れた場合、毎月の支払いは26万円となります。年収2000万円の場合、毎月の手取りは110万円程度になりますから、住宅ローンを差し引いても、84万円残る計算です。毎月84万円の生活資金があれば、相当お金が貯まるのではないか?と思う人が多いでしょう。しかし、高給取りはそれにふさわしく高額の支出が多いため、毎月20万円の貯蓄にとどまります。毎月60万円は生活費という名の消費で手元から出て行きます。
この状態で、夫の年収が低下したらどうなるでしょう。もし仮に、年収1500万円が年収500万円に戻ったとしたら……。世帯年収1000万円の場合、毎月の手取りは60万円程となります。手取りの半分弱を毎月住宅ローンとして支払う生活は、想像しただけでも苦しそうです。この状態で子どもが生まれて、保育料が収入比例で最高額となれば、毎月赤字の家計に転落してしまう可能性大です。
年収アップ前を前提に考えた方がベター
多くの人は、住宅ローンが返せなくなったら、①家を売ればいい、②家を貸せばいい、と思っているでしょう。しかし、実際には売値<住宅ローン残高、となり売りたくても買い主との値段が合わずに売却ができないケースは多々あり、「負」動産の相談も存在します。
また、家を貸す場合は、家賃26万円以上で貸さないと毎月赤字になります。本来、固定資産税なども加味すれば、家賃30万円は欲しいところです。しかし、そんな高い家賃を払う個人がどこにいるのでしょうか(筆者の経験からすると、家賃が20万円を超えると買った方がいいのでは?と考える方が増えるようです)。
結果として住宅ローンが払えなくなった場合に行きつく先は、自宅の任意売却か競売です。家を手放しても1円も残らない可能性が高いのです。それでも売り主は、買い主の事情まで知りませんから、価格の高い物件を販売しようとします。
安心な価格で家を買いたいなら、年収アップ前の世帯年収1000万円をベースに、6000~7000万円の家を買うのが無難でしょう。当初無理のない返済でも、これから子どもの教育資金がかかってくれば、初めはゆとりの返済額でも、気が付いたら毎月赤字になりかねません。
5.ライフプランを考慮しない
年収500万円のDさん。専業主婦の妻1人、子ども1人の3人家族で、夫のDさんはそろそろ家を買おうと思い、3000万円の家を買っても家計に問題はないかと相談に来ました。今まで借り上げ社宅に住んでいて、住居費の負担は3万円だったため、家計にはゆとりがありました。
しかし、3000万円の住宅ローンを借りると、毎月の返済額は9万円。マンションをご希望のため、管理費と修繕積立金の支払いが毎月2万円、固定資産税が月額換算7000円となり、毎月11万7000円の支払いが必要となります。今後の資金繰り表を作ってみたところ、住宅ローンを含めた支出が多く、あっという間に家計が破綻する試算結果となりました。Dさんは茫然としてこちらのアドバイスが耳に入りません。
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