バイキング料理が60年前日本で誕生した理由 食べログでバイキング料理の「今」を分析

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村上氏が3年2カ月のヨーロッパ武者修行を終え、日本に帰国したのは1958年(昭和33年)6月(『人生はフルコース―帝国ホテル・村上信夫の履歴書』佐藤陽著、東京書籍)。それからわずか2カ月後の8月1日に、レストラン「インペリアルバイキング」が誕生した。村上氏がまだ37歳の出来事だ。

今から60年前というと、まだ街頭テレビがあった時代だ。当時はまだ白黒テレビが普及しておらず、広告宣伝には多くの人が集まる場所にテレビを設置し映像を流すという手法がとられていた。そうした時代に、今では誰もが知る存在となった「バイキング」は生まれたのだ。

『帝国ホテル厨房物語―私の履歴書』(村上信夫著、日本経済新聞社)によると、当時のメニューは鰻のゼリー巻き、生サケのぶどう酒煮、ドイツ風ハムの燻製、豚背肉塩漬けの水煮など、約40種類だったという。

価格は昼が1,200円、夜は1,800円。当時はコーヒー1杯が50円、映画館の入場料が150円だった時代であり、帝国ホテルの宿泊料金と変わらない値段だった(『帝国ホテル厨房物語―私の履歴書』)。しかし、それでも評判を呼び、昼も夜も行列ができる繁盛店になった。

バイキングのネーミングは、社内公募で決定した。当時、カーク・ダグラス主演の海賊映画「バイキング」が上映されており、それがヒントとなった。入選者には3日間の休暇と金一封が与えられた(『人生はフルコース―帝国ホテル・村上信夫の履歴書』)。

それから60年、料理を保温する設備の独自開発やデザートがメニューの充実など工夫を続け、現在は「インペリアルバイキング サール」として営業を続けている。

現在の「バイキング」事情はというと?

では、現在のバイキング事情はどうなっているのだろうか。食べログの東京都、約600店を調査してみた。まず、何の店でバイキングが多いのか。1位は意外なことに居酒屋だった。これは、ランチではバイキング店として営業し、夜は居酒屋に転換している店が多いことが原因と見られる。また、しゃぶしゃぶ・串かつはチェーン店が数を稼いでいる。焼肉は単品オーダーと食べ放題のメニューを選択できる店が多いため、トップ3に入った。

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