レゴランド、「値下げ」後にも残る3つの不安 開業2年目、大人を惹きつける魅力に欠ける

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FacebookやTwitterなどでレゴランド・ジャパンに来場した人のコメントを見ると、「規模の割に料金が高すぎます」「開業1年とは思えない人の少なさでした。そのため、ほとんど待ちなしでアトラクションは利用できました」との意見が目立つ。

今回の「値下げ」だけで、レゴランド・ジャパンの状況が好転するかというと微妙だ。最大の要因は「大人」を惹きつける魅力の薄さにある。理由は主に3つだ。

営業時間の短さと園内の狭さに伴う割高感

まず、値下げしても残る大人料金の割高感だ。たとえば従来と同じピークの大人1日料金6900円はTDRと500円しか差がないが、これを「営業時間」で割ってみよう。

レゴランド・ジャパンの今年7月の営業時間は午前10時から午後6時までの8時間。そもそも営業時間が短いのだが、開園から閉園まで目いっぱい遊んだとして1時間当たりの料金は約860円。一方、TDRは朝8時から夜10時まで開いているので営業時間は14時間で、1時間当たりの料金は約530円となる。レゴランド・ジャパンの新料金であるオフピークの大人1日料金5000円で、同じく計算してみると、1時間当たりは約630円となる。それでもTDRよりも、お得感が薄い。

単純な敷地の広さを比べてみると、レゴランド・ジャパンの園内約9万平方メートル(ホテルエリア除く)に対し、TDRは同51万平方メートルとその5倍以上ある。営業時間の短さ、そして敷地の手狭さ。この2つが割高感の根拠となっているようだ。

キャラクターのなじみの薄さとストーリー性の乏しさ

2つ目はコンテンツそのものの魅力や知名度、世界観等、ブランド力の弱さだ。TDR、USJと比べるとレゴランド・ジャパンはキャラクターになじみが薄く、ストーリー性も乏しい。

いくつかの観点があるが、映画を使ったマーケティングは小さくないポイントに見える。

「トイ・ストーリー」「アナと雪の女王」「ファインディング・ニモ」「アラジン」「パイレーツ・オブ・カリビアン」――。TDRには、パッと思いつくだけでも映画のキャラクターやその世界観を反映したアトラクションが多数並ぶ。

当初はハリウッド映画路線がウケず、日本のアニメの施設を導入する「脱・映画化」が奏功したUSJも、2014年にオープンした「ハリー・ポッター」エリアがヒット。近年は「怪盗グルー」シリーズに登場する、愛くるしいキャラクター「ミニオン」が子どもだけでなく、大人にも親しまれている。

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