レゴランド、「値下げ」後にも残る3つの不安 開業2年目、大人を惹きつける魅力に欠ける

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園内の面積を考えるとお得感が小さい(筆者撮影)

TDRやUSJの集客に、映画のヒットは少なからず影響しているに違いない。というのも、日本映画製作者連盟が毎年まとめている洋画興行収入ランキングでは、上位にディズニー作品やユニバーサル・スタジオ作品が毎年、チラホラ入る。これは多くの大人が目にすることになり、知名度やブランド力を上げているだろう。

ひるがえってレゴも近年は映画コンテンツに力を入れているというが、同ランキングに入るような映画は見かけない。

実は、そもそもレゴブロックに親しみの薄い大人は少なくない。近年でこそ一般化してきたが、たとえば40代以上の男性に聞くと、「TVCMでは見かけたけど、あれは裕福なお家の子の遊びだと思っていた」「レゴランドをきっかけに、初めてレゴブロックを知った」などという話を聞く。

「自分たちの時代はダイヤブロックで遊んだもんだ。レゴなんて知らなかったね。音楽もキャラクターも知らない」。レゴランド・ジャパンを訪れた際に利用した初老のタクシー運転手はこんな話をしてくれた。親世代以上、孫のいるような人たちにもなじみが薄いのだ。

美術館や博物館のようで五感に訴える施策が弱い

3つ目は、五感に訴える施策が弱い点である。

ディズニーランド、USJは、実はかなり五感に訴えるための施策がある。音楽やキャラクターの声、参加型のショー・パレードやキャラクターとの交流、名物アトラクション、エリアごとのコンセプトの差異、味覚(USJ限定のバタービール、ディズニーランドのチキンや限定のポップコーン等)だ。

対して、筆者はレゴランド・ジャパンに対し、美術館や博物館に近い感覚を持った。園内には東京タワーや白鷺城、街などをレゴブロックでつくったものなどが展示されている。これは参加型ではなく、見るだけで楽しむエリアだ。ここの面積がかなり広いので遊園地っぽさが薄い。子ども向けの「江戸東京博物館」というところだろうか。「体験」の要素が少し弱いのだ。

レゴランド・ジャパンは「小学生までの子どもと親をターゲットにしている」といえばそれまでかもしれないが、財布の紐を握るのは大人である親だ。TDRやUSJを見れば子どもはもちろん、大人でも楽しめるからこそ、リピーターが根強く、大人や学生同士のグループで訪れ、口コミで新規客も広がっていっている。レゴランド・ジャパンは値下げに加えて、大人を惹きつける魅力をつくっていく必要がありそうだ。

岸 光月子 Emotion Techマーケティング部マネージャー、映画フリーク

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きし みつこ / Mitsuko Kishi

2010年白百合女子大学文学部卒。大手人材企業での営業経験、ベンチャー企業でのクラウドシステムのマーケティング・営業経験を経て、2017年Emotion Techにマーケティングマネージャーとして入社。Emotion TechはクラウドシステムとAIを使った感情分析を得意としており、こういった技術を活用し、多岐にわたる分野の分析も行っている。趣味は映画鑑賞と日本酒を飲むこと。映画の特に好きなジャンルは、サスペンス映画・ロードムービー・アクション映画。年間平均180本を超える映画を鑑賞。

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