キリンのマーケティングが変貌を遂げたワケ 上期の販売が好調、独り負けを返上できるか
連日の猛暑が続く日本列島。ビールメーカーは最大の書き入れ時である夏商戦に突入している。
だが、記録的な暑さが続く天候とは対照的に、ビール類市場の冷え込みは止まらない。7月11日に発表された上半期のビール大手5社の課税出荷数量は、ビール類出荷量が1億8337万ケースと6年連続の前年割れで過去最低となった。2017年6月からの安売り規制による店頭価格の上昇や、居酒屋など外食店向けの業務用ビール値上げの影響が大きい。
その中にあって好調ぶりが目立ったのがキリンだ。業務用市場に吹き荒れる逆風にはあらがえずビールの出荷量全体はマイナスだったが、スーパーやコンビニなど小売店での旗艦ブランド「一番搾り」の販売が好調だった。
外部から異例の登用
一番搾りの味・デザインを大幅に刷新したのは2017年7月下旬のこと。パッケージでは高級感を押し出し、味は渋みや酸味を抑えて設計し直した。刷新直後の大量の広告出稿でついた勢いは今年に入っても衰えず、家庭用缶の上半期の販売数量は前期比15%増になった。
ここ数年はビールの販売が振るわず、シェアも右肩下がりで「独り負け」と揶揄されてきたキリン。だが、ここにきて反転攻勢の兆しを見せ始めている。カギを握るのは、キリンビール・マーケティング部長の山形光晴氏だ。
山形氏は、P&Gで化粧品やシャンプー「パンテーン」など消費財のマーケティングを担当した後、2015年にキリンビバレッジに入社。飲料のマーケティング担当を経て、2017年3月からキリンビールのマーケティング戦略を主導してきた。キリンビールにとって、マーケティングを外部からの人材に任せるのは珍しいことだという。
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