金利上昇がもたらす、悪夢のシナリオ デフレ脱却なら、日本の財政はどうなるのか

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デフレだから日本の財政はもっている(黒田東彦日銀総裁、撮影:尾形 文繁)

金利水準の低下によって、財団や年金基金が運用収益の減少に悩んでいると前々回で述べた。その一方で、利益を受けている部門もある。その典型が、財政部門である。巨額の借入がありながら、支払利子が抑えられているのだ。その結果、財政規律が弛緩した。

日本銀行の資金循環統計によれば、非金融法人企業の借入残高は、1995年頃がピークで609兆円あったが、その後減少し、2012年度には407兆円と、ピークの3分の2程度になった。他方で、中央政府の負債である国債・財融債の残高は、79年度の52.5兆円から12年度の690兆円まで増加した。

いまや、国が最大の借り手だ。12年度においては、国債・財融債残高が非金融法人企業の借入残高より283兆円多くなっている。

部門別の貯蓄投資バランスを国民経済計算で見ると、01年度には、非金融法人企業の純貸出が10.6兆円、家計の純貸出が15.2兆円であり、家計が国内で最大の純貸出部門だった。ところが、11年度では、前者が29.8兆円、後者が11.4兆円となった。このように、現在では、非金融法人企業が国内で最大の純貸出部門である。一般政府の純借入は01年度の32.5兆円から11年度の42.3兆円に拡大した。

前回述べたように、リーマンショック以降の金利水準は、実質成長率や物価上昇率との関係で見ると、低すぎる。今後上昇することは十分ありうるだろう。そうなった場合、いくつかの問題が生じる。

一つは、国債を大量に保有する金融機関の資産が劣化することだ。ただし、日本の銀行は、保有国債の残存期間を短縮化することによって、この問題にすでに対応している。

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