“ギャンブル化”する日銀の金融政策

行きすぎた円安と不動産バブルのおそれ

(撮影:尾形文繁)

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日銀の膨大な長期国債の購入で、極限まで金利水準を押し下げれば、国債を保有する民間部門の受け取り利息が減り、政府の利払い費が軽減される。政府には大歓迎。しかし、財政状況を反映しない、いびつな低金利下で財政規律が緩み、景気対策のために再度の大型補正予算を組む可能性はぬぐえない。日銀にとっては「マネタリーベースを増やしてもインフレにならなかったときがヤマ場」(上野氏)。政府の景気対策と日銀のさらなる国債買い増しが重なれば、金融 政策を逸脱した財政ファイナンスと見なされかねず、悪い金利上昇が起きる可能性もある。

黒田総裁は是が非でもデフレ脱却を実現するという姿勢を前面に押し出し、「現時点で重大な副作用が直ちに現れる可能性は極めて低い」と、マイナス面の言及は少ない。

だが、問題はほかにもある。そもそも日銀が大量の長期国債の残高を2年のうちに100兆円も増やせるのかという根本的な疑問だ。これまで日銀は、短期の金利を国債買い入れを通じて引き下げ、中長期ゾーンの金利は、市場機能に委ねて手をつけていなかった。今回は短期から中長期まですべてを買い入れ対象とし、金利を潰しにかかる。これまでまったく経験のないオペレーションである。

日銀は金融緩和の発表と同時に残存期間別の国債買い入れ計画を発表したが、その計画は4月と5月だけ。6月以降の買い入れ方針については「決定の都度、公表する」とした。これまで、長期国債の買い入れは残存期間別に毎月の計画が決まっていた。今回、向こう2カ月分の計画しか出さなかったのは、日銀自身、未経験の広範な長期国債の買い入れに対し、確たる自信を持っていない証拠だろう。国債の保有主体である銀行がどこまで日銀に国債を差し出すのかも不透明だ。

巨額の金融緩和で市場を驚嘆させたが、実際のオペレーションで買い入れが進まずにつまずくようだと、黒田総裁が支配している投資家の期待がたちまちしぼむ。日銀の今回の政策はまるでギャンブルのようだ。

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