避難所生活を快適にする「段ボール」の舞台裏

間仕切りだけでなく授乳室や紙相撲も

段ボールによる支援がマスコミを通じて報道された効果も出てきました。報道を見たお客さんから「その箪笥を売って欲しい」という要望が出てきたのです。まったく予想もしない動きでしたが、考えてみると段ボールは、軽くて運ぶのも簡単、粗大ごみにもならない。言わば、究極のエコ製品。社員の引っ越し用として、銀行、生命保険会社などの大手からも注文が来るようになりました。

避難所生活は長期戦です。冬になって、物理的には満たされてきましたが、心が満たされていないという声が上がってきました。そこで、年齢に関係なく楽しめる段ボール相撲を考案しました。幼稚園にも寄贈し、会社全員で現地を体験しようとその幼稚園を訪問。行司役もやったりして、園児たちとおおいに盛り上がりました。1回行くと70万円ほどかかりますが、すべて会社の持ち出し。ただ、周りの友人やロータリー仲間も支援してくれたお蔭で、ボランティア活動を続けられました。

こうした体験を経て、人生観、経営観も変わり、会社の社是、経営理念を新たに作ることにしました。社是は「感謝・感動・志」。経営理念の冒頭は「生かされている事に感謝し、物づくりを通じて地域社会に貢献する」としました。支援される側が感謝するだけでなく、支援する側も感動するんだ、という思いがそこに込められています。

「世のため人のためにやっていれば皆が助けてくれます。中小企業の経営はどうしても目先のことにとらわれますが、世の中に役立つ商品を作れば、周りが助けてくれて商品も売れ、会社も永続できる、ということに気付かされました。社員達も、人の役に立つ商品を作っていると自覚してくれて、会社としても一体感を持つことができました」(松田社長)

若いママの声を取り入れて新商品を開発

マツダ紙工業は、ほかにもさまざまな試みをしています。中でもユニークなのが、若いママさんたちで組織する「商品開発プロジェクト」です。

ママ友と松田社長(写真:マツダ紙工業)

彼女たちは、社会と繋がりたいという気持ちが強く、またファッションにも敏感です。同じ思いのママたちが、大阪で大小100近くのサークルを作っていますが、各グループに声をかけて、段ボールに関心ある人たちを集めました。

日当、交通費を出して、いろいろ意見を出してもらっています。被災地に寄贈した机と椅子にも、彼女たちから意見が出ました。手を切らないように、そして可愛くということで、折り返しを入れて仕上げたら、主婦層にも好評でした(幼児用6700円、小学生用9000円 税別)。

箪笥(たんす)も、幼児が着物の片付けに使えるよう、動物のイラストシールを付けた「お片付けチェスト」に変身させました。ウサギが靴下を持っていたら、その引き出しに自分の靴下を入れ、自然と片付けをする習慣が身に付くという仕組みです(3段仕様6450円、5段仕様8560円 税別)。

次ページ行政組織に備えてもらおうと活動している
ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • ほしいのは「つかれない家族」
  • 野口悠紀雄「経済最前線の先を見る」
  • 買わない生活
  • インフレが日本を救う
トレンドライブラリーAD
人気の動画
レヴォーグ1強に見た和製ワゴンの残念な衰退
レヴォーグ1強に見た和製ワゴンの残念な衰退
ウーバーイーツ配達員の過酷
ウーバーイーツ配達員の過酷
イオン「フジ実質買収」で岡田会長が語った未来図
イオン「フジ実質買収」で岡田会長が語った未来図
飲食業界、失敗する店と成功する店の決定的な差
飲食業界、失敗する店と成功する店の決定的な差
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
統合から20年どこでつまずい<br>たのか みずほ 解けない呪縛

みずほ銀行が相次ぐシステム障害で窮地に陥っています。その根底には、3行統合から今に至るまで解決できていない呪縛と宿痾が。本特集ではみずほが抱える問題点をガバナンス面や営業面などから総ざらい。みずほは立ち直ることができるのでしょうか。

東洋経済education×ICT