コンテンツホルダーが米国の横暴と戦う方法

角川歴彦×川上量生 対談(5)

2013年10月10日、株式会社KADOKAWAは新たな選書レーベル「角川EPUB選書」を創刊した。創刊ラインナップの中から、自身初の単著となる『ルールを変える思考法』を上梓した株式会社ドワンゴ代表取締役会長・川上量生氏、『グーグル、アップルに負けない著作権法』を上梓した株式会社KADOKAWA取締役会長・角川歴彦氏のお2人に登場していただき、グーグル、アップル、アマゾンに対抗して、日本のコンテンツ産業が生き残っていくための方法について、思う存分語り合っていただいた。
最終回となる今回のテーマは、電子書籍や2次創作問題でクローズアップされてきた著作権についてである。

連載第1回目「情報化社会で真の知識人は『コミュ障』の人間」はこちら

連載第2回目「5年後、日本のメディアコンテンツはこうなる」はこちら

連載第3回目「歴史を変えたコンテンツの共通点」はこちら

連載第4回目「引きこもりが救う? コンテンツ輸出の世界戦略」はこちら

 ——角川会長の新刊『グーグル、アップルに負けない著作権法』では、アメリカの著作権法についても触れられています。日本の事業者には、どのような影響があるのでしょうか。

角川:アメリカは世界中にネットワークを張り巡らせている。いちばんわかりやすいのは軍事力です。その次にソフトパワー、ハリウッドの映画などですね。それから原子力。なぜ東海村に日本初の原子力発電所を造れと言われたかといえば、それによってアメリカの原子力ネットワークの中に日本を組み込むのが狙いだったと思います。

それら種々のネットワークの中に、僕はITも入っていると思うのです。そういう中で、アメリカのクラウド事業者は守られている。だから、中国がグーグルに「出て行け」と言ったとき、国務長官だったヒラリー・クリントンが、ITはアメリカの象徴だとかばった。あれは本音だと思います。

川上:ああ、ありましたよね、そんなことが。

角川:アメリカは、世界に出ていく企業に対しては、全面的にバックアップする。アメリカを象徴して送り出す。でも、自分の国で横暴になった企業は、独占禁止法でたたくのです。マイクロソフトが大きくなったときはマイクロソフトをたたき、アップルが大きくなったときにアップルをたたく。アメリカがすごいのは、競争政策を維持するためには、バックアップしていたはずの企業も遠慮なくたたくところです。

一方で、日本の省庁は、自分の管轄の企業をコントロールするために頭をなでるんだよね。総務省は、テレビ局が自分の傘下に収まっていれば、「許認可しているのはわれわれだよ」と言いながらテレビ局の頭をなでる。アメリカは競争させるんです。産業政策がまったく違う。だから、グーグルやアマゾンやアップルが日本にやってきて日本のマーケットを蹂躙(じゅうりん)するのは、アメリカとしては大歓迎なんです。

次ページデジタルミレニアム著作権法のダブルスタンダード
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