コンテンツホルダーが米国の横暴と戦う方法 角川歴彦×川上量生 対談(5)

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デジタルミレニアム著作権法のダブルスタンダード

角川: 1998年にアメリカが、デジタルミレニアム著作権法という法律を世界で初めてつくったのですが、「著作権法」だから著作者を守るかと思ったら、「セーフハーバー条項」という例外条項があるのです。これによると、インターネット事業者が提供しているサービスの中で、もし著作権法に違反しているコンテンツがあっても、それをサイトから下ろせば罪を問わない。だからもう、グーグルもアップルもアマゾンも、著作権があろうが、コンテンツは使い放題です。いざとなったら、下ろせばいいだけだから。

傘下にハリウッドメジャーの一角・パラマウント映画とMTVを持つバイアコムが、YouTubeに対して「著作権侵害を奨励し、ユーザーによるテレビ番組や映画のクリップの不正利用から利益を得ている」と訴えて損害賠償を求めたんだけど、地裁、高裁、最高裁で一貫していたのは、どのくらい損害があったのか立証しなさいというわけ。立証責任なんて果たせないですよ、YouTubeが違法アップロードされたクリップを下ろしてしまえば。結局、YouTubeは無罪放免。罪は問えないということなのです。

つまり、アメリカ国内では、インターネットサービスに関して、著作権法なんてあってないようなものです。ところが、ほかの国が著作権法に違反すると、えらい剣幕で文句を言う。だから、グーグルとアップルは強いのです。もうこれはギャング法ですよ。横暴以外の何物でもない。

しかも、とうとうグーグルが「Gメールを使っている人にプライバシーはない」とはっきり言いましたよね(こちらの記事を参照)。あそこまで言うんだよ。盗人たけだけしいというか、あそこまでちゃんと言えたら、逆に立派だよね。

川上:恐ろしいですよね。

角川:恐ろしい。でも、本音を言えば、みんなわかっていたはずなのです。

僕は、こういう人たちに対しては、言うべきことはきちんと言わなきゃいけないと思っています。だから、僕は今回の本でも、グーグルやアマゾンにおもねる気はまったくないのです。もちろん、リスペクトするところは、ちゃんとリスペクトする。でも、批判すべきところは批判しないと。日本のマーケットで彼らの横暴を防ぐためには、今は僕たちには著作権法しかないと思っているから、グーグルやアップルに負けない著作権法をつくってほしいというのが今回の本のテーマです。

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