陽一さんは子ども嫌いではないが、あくまでも夫婦仲を重視する。結婚記念日やクリスマスのプレゼントを欠かしたことはない。「奥さんが一番、子どもは二番」と言い切る。話しぶりによると、「仕事が二番で、趣味が三番、子どもは四番」ぐらいの優先順位だったのかもしれない。
「夜の生活も拒まれるようになって、ケンカが絶えなくなってしまいました。向こうは黙ってためこむタイプですが、僕は鈍感なので言葉で論理的に話してくれないと納得できません。腹が立って大声を上げてしまうこともありました」
夫婦であっても、セックスをするかしないかは個人の自由だ。感情そのものの働きだと言ってもいい。必要なのは、理屈でも大声を上げることでもなく、信頼と愛情だということを、当時の陽一さんは理解できなかった。
結婚生活に終止符を打つことになり、2人の子どもの親権は真由美さんが取った。以来、陽一さんは子どもたちとは「年に1回会うか会わないか」の関係だ。子どもたちが求めないかぎり、こちらから面会を要求しようとは思わない。
一方で、経済的な面での責任は十分に果たしている。財産分与は約3000万円。子どもたちにはそれぞれ月8万5千円の養育費を払っている。
現在の妻との出会い
寂しがりを自認する陽一さんは、離婚の翌日から婚活を始めた。大手の結婚相談所に入会し、2年間で約100人の女性とお見合いしたのだ。
「見た目が好みの30代が中心です。会ってみてから、家事力に欠けているとお断りをしました」
懲りない男である。ただし、現実は甘くなかった。陽一さんが気に入った女性から断れてしまうケースが続出したのだ。結婚相談所の担当者に相談すると、陽一さんが最初からアピールをしすぎることが原因だと指摘された。
「自分と生活環境が違いすぎると女性は気持ちが引いてしまうんですね。僕は家や車や魚介料理のことを一気に話しすぎていたんです。少しずつ小出しにしてください、とのアドバイスに従うと、女性受けが一気に改善しました」
その結果、出会うことができたのが現在の妻である知里さん(仮名、36歳)だ。陽一さんはやや上から目線で知里さんを評価する。
「正直言って、見た目はそれほど好みではありません。ちょっとぽっちゃり系なので。でも、国家資格のある仕事に就き、まじめに生活しているところが好印象でした。基本的に自炊で、部屋もキレイにしています」
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