突然子どもに会えなくなる「虚偽DV」の悲劇

これまでは制度欠陥が「悪用」されてきた

論理的で理路整然としている可児弁護士の話を聞くと、なぜこんな判決になったのかわからなくなってしまう。そこで梅村弁護士に再び質問をした。警察のアドバイスがあったからこそ広子さんは支援措置を申し立てたのではないのだろうか。

梅村弁護士によると、別居して以来、彼女は何度か警察に相談に行っていた。その相談時期はいずれも、裁判などで自分の言い分が通らず不利益な取り扱いを受けた後だった。2013年7月に『同居中に暴力を受けた』と警察に相談に行っているが、その直前、警察から、彼女自身が静香ちゃんへの虐待の疑いで質問をされていた。

「2015年6月には『夫に住所がばれた』『夫が学校行事に参加する』ということを彼女は警察に相談しています。その直前、面会交流審判の不履行1回につき4万円の間接強制金を払えとの裁判所の決定が出ています。

2016年3月末、警察を訪れたことで、支援措置が取られました。実はその前の1月末、利幸さんが授業参観に参加し途中で帰った後、静香ちゃんは学校内で広子さんに攻撃的な態度を取ったそうなんです」(梅村弁護士)

これ以上学校に来てほしくないと考えて取った措置

不利益を打開するために警察に行ったということなのだろうか。しかしそれだけでは、警察からアドバイスされて支援措置を取ったという説を覆せないのではないか。そんな私の疑問に梅村弁護士は続ける。

「2015年の訪問時、広子さんは警察官から『110番すればすぐに警察が訪問するようにできます。あと保護命令という制度もあります』と提案されています。そのとき彼女は『何か具体的な行動を彼が取ってくるわけでもない。だから結構です』と言って提案の実施を断っています。

2016年3月に警察に相談へ行ったときは態度が一変、結果的に支援措置を申請しています。1月末の授業参観で利幸さんが途中で帰った後、静香ちゃんは広子さんに攻撃的な状態になったから、広子さんは、これ以上、利幸さんに学校に来てほしくないと考えました。そのために実行したのが転居と支援措置の申請だったのです。そして実際、学校や教育委員会は措置を受け、利幸さんに静香ちゃんの学校情報を秘匿するようになりました」(梅村弁護士)

なるほど、住民票を移動させないなら、住民票で転居先がバレないので支援措置の必要はない。学校行事への参加等を妨害する目的があったと考えるのが普通だろう。

学校行事へ参加したときを含め、これまでに、利幸さんによるDVは本当になかったのだろうか。

「審判のとき、妻側は面会を拒絶する理由として同居中のDV被害を主張していました。しかし、利幸さんが詳細に反論したところ、同主張を主たる争点とするのをやめてしまいました。でも支援措置では利幸さんに反論の機会はありませんし、この時点で別居して4年経っています。万一、同居中の暴力があったとしても、それをもって『現在もDV被害を受ける危険性がある』と考えるのは無理があります」(梅村弁護士)

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