日本人の英語力が一向に上達しない根本原因 「英語を勉強」ではなく、「英語で勉強」せよ

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欧米の学校やそれに類するカリキュラムを採用している学校は、日本が導入しようとしている、いわゆる「アクティブ・ラーニング」(文科省の言うところの「主体的・対話的で深い学び」)で授業が行われている。目指すところは、コンテンツ(科目知識)を活用したコンピテンシー(汎用能力)の育成である。

つまり、しかるべき方法論で教えられる教科科目を英語で学ぶことにより、語学力とともに汎用能力(知識活用力、批判的思考力、問題設定・解決力、創造力、協働力、異文化受容力など)も養成されるのである。

日本人にとってディスアドバンテージになる

筆者は一昨年、ロンドン大学に籍を置き、オーストリア、スペイン、スウェーデンの大学でも講義を行った。そこで気づいたことがある。

あくまでも一般論だが、ヨーロッパの学生は、一定の長さで、具体的に、独自のアイディアや意見を堂々と述べる。それに対して、日本の大学生の発言は、自主的に発言して授業に貢献するという意識がないうえ、何か言うにしても、たとえ母語であれ、一様に短く、説明不足で、具体性がなく、面白味や独創性がない。

その原因は、歴史や文化に根差す国民性や意思疎通のあり方もあろうが、直接的には受けてきた教育の違いに行き当たる。その結果、異なるバックグラウンドを持つ人々と英語で協働したり競争したりする際に、前提となる資質・能力が違うため、支障や不利益が生じてしまう。

そのことを認識していないと、グローバル化がますます進行する近未来において、日本人にとって大きなディスアドバンテージとなる。

では、どうすればいいのか。

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