梨田監督「電撃辞任」で揺れる楽天が目指す先 最下位に沈むイーグルス、借金20で引責の形

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私はコーチ時代、この“個人ミーティング”=「コミュニケーション」を、特に大事にしていました。それぞれ個人的に一時間ずつくらい、私だけでなく打撃スコアラーにも同席してもらい、良かったこと、悪かったことを振り返るという作業をすることで、来季への課題や取り組み方を再構築出来ます。

出身地もキャリアも年齢も違う選手たちが一緒に戦うのがプロ野球チーム。それぞれの状態を把握するために、耳を傾ける。

秋季キャンプは、ただのシーズンエンドのクールダウン期間ではないのです。

ひとつのシーズンが終わったら、もう秋季キャンプから次のシーズンが始まっている。勝つためにどうキャンプを、そしてオフ期間を使うのか。そのためには必ず、自身の武器と弱点を再確認させること。そうすれば、もっと的確に長所を伸ばすことが出来ますし、弱点をカバーするためのトレーニングに効率的に取り組める。

「ケース&スタディ」と「コミュニケーション」は野球だけではなく、スポーツ全体や、ひいては日々を生き抜く上でも必要なことだと私は思っています。

梨田さんを辞任にまで追い込んだ酷い低迷の根本的な理由が、私は個々の慢心と、キャンプの詰めの甘さ、そして何よりも「コミュニケーション不足」にあったように思えて仕方ありません。

まずは環境作りに努めて欲しい

今回の辞任に関しては、プロチームのトップとしての引責を仕方のないこととある意味納得しつつも、私個人的には、最後までシーズンを全うして欲しかったとも思います。

現場のスタッフや選手もこの異常事態を痛感して、今後どうやって戦って行くか、すべてを引き受けて辞められた梨田さんのためにも、それをよっぽど熟考しなければいけません。

現平石監督代行を以前取材した際の様子(写真:筆者提供)

そして、内部昇格で監督代行となった平石洋介元ヘッドコーチ、現平石監督代行。

ここまで膨らんでしまった借金返済や、チームの立て直しは残り約80試合の中では非常に困難であるかと思いますが、38歳とまだまだ年齢も若く、選手との距離も近いので、しっかりと「コミュニケーション」を取って、選手のやりやすい環境を作るとともに、自分のやりたいこと、信念を貫いて現場をひとつにまとめあげて欲しいです。

まずはベンチ内のどんよりムードを吹き飛ばし、楽天ベンチらしい元気を取り戻して欲しいかな! 頑張れ!

礒部 公一 プロ野球解説者

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いそべ こういち / Koichi Isobe

元プロ野球選手。2018年からプロ野球解説者に転身。右投げ左打ち。1989〜1991年広島県立西条農業高等学校 /1992〜1996年三菱重工株式会社広島製作所 /1997〜2004年大阪近鉄バファローズ/ 2005〜2009年東北楽天ゴールデンイーグルス / 2009〜2017東北楽天ゴールデンイーグルス・コーチ。2004年、球界再編問題に近鉄最後の選手会長として労使交渉に奔走した。2005年、東北楽天ゴールデンイーグルスに創設メンバーとして加入、初代選手会長に就任するとともに、中心選手として生まれたばかりのチームを支えた。

Twitter:https://twitter.com/isobekoichi

Facebook: https://www.facebook.com/Isobekoichiofficial/

公式HP:http://inwheel.jp/isobe/

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