先進国で唯一「がん死」が増加する日本の悲劇 早期発見できれば95%治せる病気なのに…
ワクチンなどによる感染予防や、治療による感染体の駆除が行われる。持続感染は症状がないことも多いため、感染の有無を知っておくことも非常に重要である。
「がんは、早期発見できれば95%治せる病気です。日本は先進国で唯一、がん死が増えている国。アメリカに比べると1.6倍もの割合で人々ががんで亡くなっていますが、これは両国の『がんリテラシー』の違いがもたらす結果とも考えられます」
なぜ中川氏が「早期発見、早期治療、標準治療の選択、そのためのリテラシーが大事」と力説するのか。それは効果のあやしい代替・民間医療に走るがん患者が多いからだという。
がんの「標準治療」とは、手術、抗がん剤、放射線などの科学的根拠のある治療法のことを指す。対する「代替治療」は、これ以外のすべてのがん治療のことである。
すい臓がんで亡くなったアップルの共同創業者、スティーブ・ジョブズは、がん罹患時にいくつか手術を受けたものの、基本的には西洋的な現代医療を拒否し、菜食主義を貫きながら、鍼灸治療、ハーブ療法、光療法などの自然療法や伝承療法に関心を抱いていたといわれている。
「実は、ジョブズのすい臓がんは、神経内分泌腫瘍というもので、すい臓がんのなかでは比較的良性に近いものです。すぐに手術を受けていれば、生きることができたでしょう」
手術・抗がん剤・放射線治療が「がん治療の三本柱」
がん治療は毀誉褒貶が激しい。中川氏はこう話す。
「がん治療の発展は日進月歩と巷では言われているようですが、約30年間、がん治療の研究に携わってきた私からすると、日進月歩というほどではありません。目新しい治療法が、劇的に効果を上げているとはいいがたいですね。
もちろん、内視鏡手術や放射線治療の技術革新は進んでいますが、それはあくまでマイナーチェンジの積み重ねであり、がん治療には手術・抗がん剤・放射線治療が三本柱という本質は変わっていません」
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