先進国で唯一「がん死」が増加する日本の悲劇 早期発見できれば95%治せる病気なのに…

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では、手術か放射線治療かとなった場合、どう選べばいいのか。これにもがんが見つかった部位による目安があるという。

胃や腸にできたがんには手術が向いています。これら以外のがんは、実はすべて放射線でいいと考えていいでしょう。びっくりするかもしれませんが、医療先進国である欧米では、これがスタンダードなのです。

たとえば食道がんで手術になったとします。食道は取り除き、胃を管状に作って食道の代わりに頸部へとつなげます。すると術後たいていは、かなり痩せてしまいます。放射線治療でがん細胞を叩いてしまえば、これほどの負担は生じません」

治療法の選択次第で人生の過ごし方が変わる

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中川氏はさらにこう続ける。

「もう一つ顕著な例を挙げるとしたら、喉頭がんのようなのどにできるがんです。これこそ手術か放射線治療かで、その後が大きく異なります。早期発見でき、放射線で治療した人は声が出せますが、進行している場合は声帯をとることになります。治療法の選択次第で、その後の人生の過ごし方は大きく異なってくるのです」

その後の人生まで含めて考え、治療法を選び、がんになる前後の生活の差をなるべくなくしていくことが、本当にがんに打ち勝つということなのである。

そう考えるにつけ、とにかく定期的にがん検診を受けること、そして治療法に関するリテラシーを高めて、あやしげな代替療法に安易に走らないように気をつけたいものである。

ムーギー・キム 『最強の働き方』『一流の育て方』著者

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Moogwi Kim

慶應義塾大学総合政策学部卒業。INSEADにてMBA取得。大学卒業後、外資系金融機関の投資銀行部門にて、日本企業の上場および資金調達に従事。その後、大手コンサルティングファームにて企業の戦略立案を担当し、多くの国際的なコンサルティングプロジェクトに参画。2005年より外資系資産運用会社にてバイサイドアナリストとして株式調査業務を担当した後、香港に移住してプライベート・エクイティ・ファンドへの投資業務に転身。英語・中国語・韓国語・日本語を操る。著書に『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』と『一流の育て方』(母親であるミセス・パンプキンとの共著)など。『最強の働き方』の感想は著者公式サイトまで。

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