「契約結婚」をした2人が一番大切にした条件 「恋愛結婚じゃないから冷静に対応できる」
――逆に、契約結婚をしてみて困ったことなどはあるのでしょうか?
長谷川:困ったというほどではないんですけど、周囲の方の理解を得るのが難しいですね。「結婚している」と言えば、一般的な結婚を想像するでしょうし、かと言って自分から「私の結婚はこういうかたちで……」といきなり話し始めるのも何だか違うし……。
「誰かいい人を紹介するよ!」と言われるのが面倒で、最近は1000円のファッションリングを買って、左手の薬指に付けているのですが、みんな"わかった気"になってくれるんですよね。きちんと自分の口で説明していかなきゃいけないなと思っているんですけど。
親御さんの反応は?
――周囲の理解と言えば、親御さんにはこの結婚について話しているんですか?
長谷川:話しましたし、両家に挨拶にも行きました。「契約結婚」という言葉こそ使いませんでしたが、事実婚かなにかだと思っていると思います。「友達だった人に結婚しようと言ったらOKをもらえたので、結婚します」と言ったら、「あんたが決めたことだったらいいんじゃない」と納得してくれて。
結婚した後は頻繁に会うことはないんですけど、旅先で近くに行くことがあったら会いにいくことはあります。
――先ほど「求める条件に賛同してくれる方なら誰でも良かった」という話がありましたが、一緒に過ごした月日の長さからか、お二人からは元来の相性の良さのようなものを感じます。
長谷川:条件に合えば誰でもよかったというのはそうなんですが、契約の条件以外に結婚相手の条件の中に「添い寝できる人」という私の中の条件があって。なかなか満たせる人はいなかったのですが、彼はそれを満たしてくれたので、一気に結婚に踏み切れました。
――添い寝が条件の中の1つだった、ということですか?
長谷川:むしろ、添い寝が最重要条件ですね。それくらい、私にとっては大事なものだったんです。恋愛関係にない人と、セックスでなく、ただ、添い寝することが。
――添い寝を大事に思うようになった理由は? もし原体験などあれば聞かせていただけますか?
長谷川:相手に踏み込むことはあっても踏み込まれたくないという感覚がずっとあって。それに加えて性被害に遭ったことが何度かあって、女性の身体に生まれたことを弱さのように思うようになっていきました、
何が決定的なきっかけかはわからないんですけど、そうしたいろんな要素が絡まって、自分の身体を肯定できず、他人と身体の接触をすることができなくなった時期があったんです。
そんな中、恋愛関係にない男友達と添い寝する機会があって、そのときに初めて、自分の身体を好きになりたいし、触れるようになりたいと思えるようになりました。
20歳のときだったんですけど、その体験以降、自分の中で「革命を起こさなきゃ」と思うようになって、自分にフィットするかたちを模索し始められたんですよね。