三菱鉛筆、古参のサインペン「ポスカ」の挑戦

30年選手のサインペンが新たな市場開拓に乗り出す先

家庭での筆記具は、宛名書きやメモ用など事務作業に特化した使われ方がほとんど。そこで、市場開拓にあたって「家庭でもっと親子で使ってもらえる商品」(商品開発部の加藤健二郎課長代理)を念頭に置いた。

家庭用市場の攻略に白羽の矢が立ったのは、今年で発売30周年を迎える水性サインペンの「ポスカ」。創業127年の同社の中でも、鉛筆や「ユニボール」シリーズに次ぐ歴史を持つ。現在でも年間1200万本以上売れる強力な”ベテラン”だ。そして、家庭向けの開拓を託されたこの商品は、数々の逸話を持つ。

ポスカの発売当時、すでに「マッキー」(ゼブラ)や「マジックインキ」(寺西化学工業)などの競合がサインペン市場を席巻。後発のポスカは路線を変え、裏写りせず、黒い紙やプラスチックにも書ける特性を武器に、スーパーや商店の販促広告(POP)用途に向けて売り出した。細字や極太の投入も奏功し、販促広告用筆記具としての地位を不動のものにしていった。

プリクラブームで女子高生の必需品に

しかし、外部環境の変化で逆風が吹き付ける。ワープロの普及やデジタル化の波が押し寄せ、手書き販促広告は年々減少。文化祭など学校でも使われていたが、本来のサインペンとして家庭用では広まらず、ポスカの成長は頭打ちになっていく。

転機は98年に投入した「極細タイプ」の予期せぬヒットだ。90年代後半から火が付いたプリクラブームを背景に、下地の色を選ばずプリクラの上に直接書けるポスカに女子中高生が飛びついた。

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カーリング人気萌芽の時代から、平昌五輪での銅メダル獲得まで戦い抜いてきた著者。リーダーとして代表チームを率いつつ、人生の一部としてカーリングを楽しめるにまで至った軌跡や、ママさんカーラーとして子育てで得た学びなどを語る。