国内損保・大手8社トップインタビュー--新商品の開発は進むか
あいおい損保 児玉正之社長
再編は成長戦略の選択肢の一つになりえます
攻撃は最大の防御であり、守ってばりいては負けてしまいます。今こそ、収益力の強化というものに、もう一度着手する必要があると思っています。この3年でシステム投資などに取り組んできましたが、守りの投資でした。今後はそれをどう成長に向けて、生産性、利便性の向上につなげていくかが課題となるでしょう。
品質の向上に向けた企業風土の変革は、当面の課題であり、同時に永遠の課題でもあります。社長も現場社員もお客様、代理店に対して同じことを言える会社、・金太郎飴・のような企業風土を目指しています。その中で、安心、満足レベルから感動レベルへというビジョンを想しています。苦情や提案が集まると、それが業務改善の具体的な事例になります。お客様が感動したものを事例として普遍化していき、それが最終的に企業風土の変化へとつながる。5年後にはそれがごく普通にできる会社になっていたいと思っています。それには企業を支える人材育成も重要。さまざまな事業を多様化していく中で、保険業界にとらわれないキャリアや発想を持った人にも来てもらいたいですね。
今後も自動車保険に強い会社ということを、徹底的に追求していきます。車を手放す人が増えている現状は否めませんが、地方においては車がなと生活に不便を感じることが多いのも事実。マーケットからいけばまだ余地があるのです。自動車保険の商品、その周辺サービス、損害調査サービスの三つが、さらなる成長に向けての柱だろうと思っています。これからは自動車保険のお客様を増やしつつ、せめて1年間でお客様の1%に重ね売りができるといいですね。現実には、ここ2年ぐらいはそういう提案ができていなかったので、きっちりと実現していきたいと思っています。
自動車保険に強い会社になる以上は、ディーラーさんや整備工場さんとの関係も重要。整備工場の資質をどう上げていくかもきな課題です。全国4カ所にある自動車の研修所では、整備の技術や板金塗装の技術を指導、ファクス相談も行っています。彼らのところで自動車保険を売ってもらうために、専用の保険学校などを設置しています。
軸足が国内から海外へ向けられている中で、国内をきちんと見直す必要があると感じています。その中で再編について考えると、成長戦略のための一つの選択肢になるのかなと思います。さまざまな先行投資が必要な中で、非競争領域だという共通認識があれば、業務提携を組むべきであり、その延長線上に再編も出てくるのではと思います。
できるだけ安い商品をお客様に提供する責務がある中で、それが競争領域であれば差別化を含めて取り組む必要がありますが、そうでない分野については、バラバラでやる必要もないのではないかと思います。