国内損保・大手8社トップインタビュー--新商品の開発は進むか

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ニッセイ同和損保 立山一郎社長
他社との連携を深めるより今は日生との関係が大事

 また成長期は来ると思います。そのときに備えて、今やるべきことは、親切、迅速、的確という3本柱の現です。この3本を柱として、品質をいかに高めていくかに全精力を投入する、ということに尽きると思います。信頼回復のための業務品質向上は、前提条件になるでしょう。

そのためには、人材育成にも力を入れなければなりません。今年から営業教育開発部を新設し、執行役員も配置しました。代理店の指導力、サービス力を高めるべく、今は社員教育に力を注ぐ時期ではないかと思っています。

日生の資源を使えば、自動車保険でもまだ成長できると思っています。開拓できる宝の山です。当社はまだ存在感が小さい分、他社より成長余力があるので。

しかし、会社の規模を大きくすることよりも、社会の役に立てる会社になることが大事だと思っています。「会社は小さいけど、ニッセイ同和の社員は親切だよね」と言っていただける会社になることです。それが特徴だとも思っていますし、もっと社会のお役に立つためにはどうしたらよいのか? ということを、常に念頭に置いて取り組んでいきたいと考えています。感謝される会社であることが、企業価値を上げることにもなります。

たとえば、マナー運動の一環として「お客様」と言わずに、「○○様」と名前でお呼びしましょうということを行しています。そういう社員一人ひとりの基本的な行動が、ニッセイ同和の信用や価値を高めるのです。一人ひとりの責任は極めて重大です。その一方で、CSの前にES(従業員満足度の向上)が重要であるとも考えています。社員自身がこの会社で仕事をするのは面白いということを実感できる会社であるかどうか。それがあって初めて、CSが実現できるのです。

再編については、今の段階では難しいと思っています。業務品質、経営品質の向上は業界全体の課題であり、各社とも全精力を尽くしているところでしょう。その中で再編までやるという余裕はなかなかないのではないでしょうか。当社も、今は日生マーケットの開拓に時間や労力を費やしたほうが、効果も高いと考えています。日生ブランドの価値を高めていくことがまずは先決。リテール、中堅中小、大企業、またその周りの関連会社の開発を、これから積極的にやっていきます。

企業価値というものは、経済的価値、存在価値、社員の人間力の三つで成り立つもの。そこへ向けての基盤作りを今こそきちんとやっておくべきだと思います。

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