国内損保・大手8社トップインタビュー--新商品の開発は進むか
三井住友海上グループホールディングス 江頭敏明社長
自社より品質が劣る会社と 一緒になることはリスクなんです
最初に行政処分を受けたということもあって、信頼回復に向けた体制整備は、業界内でも最も進んでいと自負しています。いよいよ、限られたパイの中での品質競争の時代に入ったと考えています。
近い将来、再編がないとは言い切れません。とはいうものの、現実に今、再編が進んでいるという認識はありません。各社とも、たいへんなコストをかけたシステム投資、新しい組織体制の確立などで精いっぱいですよ。これが落ち着くまでは、具体的な動きは起きづらいと思います。
第1次再編のように、スケールメリットを追求すれば競争力がつくといった状況には、今はありません。保険会社の自律がますます強まる今後の環境の中で、自社より品質が少しも劣るところと一緒になることはリスクだと思っています。設備投資に耐え切れなくなった会社から救済を求められて一緒になる、これがいちばん現実的な業界再編のシナリオになるんでしょうね。
生保、海外をもっと増やして、グループ全体のポートフォリオを安定感のあるものに変えていこうと考えています。きらめき生命とメットライフ生命は、ビジネスモデルがまったく違うので並存している。これから銀行窓販が本格化しますけれども、両社とも銀行から商品、教育体制とも評価を受けています。生保事業はグループ全体に大きく貢献すると考えます。
海外は、数年前から東南アジアや台湾の会社を買収し、また、欧州ではロイズビジネスに参入するなど、業界に先駆けてやってきました。北米は今後も慎重にやっていきますが、アジア、ヨーロッパ、そして再保険事業はもっと充実させていきたい。
特に伸び盛りのアジアでは、生保事業が非常に有望ですから調査・研究を進めています。欧州でもフェアバリューで買える範囲で、いいものがあれば買うという方針です。中国では現地法人ができて、この秋には営業を開始します。アジアはほとんどの国でベスト5には入っていますが、いちばん伸び率が高いのインドですね。自由化が予定されていて、株式が50%くらいまでは持てるようになりますから、これは期待できますね。
将来は、ぜひグローバルプレーヤーを目指したい。今の海外戦略もそれを視野にやっています。シンガポール、ロンドン、ニューヨークと、地域持ち株会社をすでに配置しており、日本を含めて4極体制です。しかも当社の場合は、日本人がトップではありません。現地の経営者にある程度の権限を与えるというのが、真のグローバルプレーヤーとしてうまくいく秘訣だと考えています。