国内損保・大手8社トップインタビュー--新商品の開発は進むか

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国内損保・大手8社トップインタビュー--新商品の開発は進むか

損保市場は、上位9社でシェア80%強を占める寡占市場だ。ただ、上位社が主力とする自動車保険は、構造的な縮小傾向が続く。経済構造が変化すれば、損保会社がカバーすべきリスクが新たに生まれ、国内での成長に伸びしろはあるいうが、足元での芽吹きはまだ見えない。さらに上位7社は上場会社。ファンドなどからの買収にもさらされる。今後の姿をどのように描くのか、上位8社の社長に成長戦略を聞いた。

東京海上ホールディングス 隅修三社長
銀行、信託分野への進出はちょっと違う気がしますね

 成長していくためには、マーケットを作っていかなければいけない。そのためには、企業なり個人のニーズをくみ取り、それに合わせた商品を開発すると同時に、営業力も強化しなければいけない。また、リスクを引き受けるスピードも一段と上げていく必要があります。

営業力の強化については、抜本改革でシステム基盤を一新しました。理店とのオンラインが全部新しくなり、ネットワークの力がどんどん強くなってきます。間違いなく1~2年後には強力な販売力に結びついてくると思う。もっと早くしたいけれど、今回いろいろな不祥事があったので、やや時間がかかってもしょうがない。業務品質の改善をまずやらなければなりません。業務品質の改善なくして、販売、販売ということにあまりに注力するのは、今はそういう時代ではないと思います。

業務品質の改善とは、お客様から見て、保険会社の日常の仕事の流れ、プロセスが透明で、違和感のないスピーディな対応が可能になるよう仕組みを作ることです。そのためには顧客、代理店、保険会社における情報の共有化が大事ですが、今回の適正化の問題は、それを全社員に定着させる強烈な追い風になっており、全国の代理店の意識も1年前とは様変わりになっています。そのうえで手数料体系も代理店、保険会社の役割分担に応じた「見える化」の仕組みを作っていきます。

業務品質を追求していけば、これまでのようなボリュームを狙う再編がいいのかどうか微妙だし、まして銀行、信託の分野への進出となると、ちょっと違うかな、難しいかなという気がしています。結論から言うと、わわれは本業である保険を一つのベースとして、そこから派生するところまでを考えていますから。

いずれにしろ、こうして国内の成長を図る一方、海外拡大も今後の大事なポイントです。この10年、アジア、中南米はじめいろいろなところでM&Aをやってきましたが、今後も「規律あるM&A」をやりながら積極的に拡大していきます。規律あるM&Aとは、会社の健全性が高くて経営者が規律あるアンダーライティングをしている、非常に強いビジネスモデルを持っている、なおかつ成長性が非常に高く期待できる。この三つをベースに持ち、それに加えて東京海上グループ全体のポートフォリオに、非常に大きな貢献をしてくれる企業をM&Aしていこうということです。

M&Aは今回のキルン、フィラデルフィアで打ち止めではなく、もっと収益を高めようという世界にはまだまだ遠いですから、もっとこれをやっていかなければなりません。欧米でさらにポジションを取っていくことで、世界のトップランクに入るグローバル企業を目指していきます。

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