ネットに飛び交う意見に惑わされるべからず それは客観的な根拠に基づいた事実なのか

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ファクトチェック記事を出すと、産経新聞も訂正記事を出しました。ファクトチェックの結果がこうしてきちんとメディア報道においても訂正記事として表れるということがありました」と話します。

「わらの中から針を探す」ような作業を人力で

総選挙だけでなく、普段からファクトチェッカーに情報面でのサポートができるよう、FIJでは「ClaimMonitor」という実験的なプロジェクトを始めました。

「ClaimMonitor」実験的プロジェクト〔ホームページキャプチャー画面:©︎ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)〕

これは、正確性に疑義がありファクトチェックが必要な情報を集約し、ファクトチェッカーが共有するためのプラットフォームです。現在、市民記者、地方公務員、国内外の大学生、フリージャーナリストなど、15人の多種多様なバックグラウンドを持ったメンバーが、仕事や勉学の合間を縫って参加しています。

15人の多種多様なバックグラウンドを持ったメンバーが、仕事や勉学の合間を縫って参加している(写真:GARDEN Journalism)

彼らが行っているのは、疑わしい情報について指摘しているTweetをチェックし、さらにそれがファクトチェックの必要な情報かどうかをふるいにかけ、必要だと判断したものを「端緒情報」として「ClaimMonitor」で共有する作業です。現在、約3カ月で約250件の「端緒情報」が集まっています。

対象となるのはメディア報道、政治家の発言、有識者の言明など多岐にわたりますが、ファクトチェックすべきはその「意見」ではなく「事実」だと、楊井さんは話します。

「必ず気をつけていかなければならないのは、『事実』と『意見』をきちんと区別するということ。あくまでもわれわれが検証するのは、『意見』や『立場』が正しいかどうかではまったくありません。『事実』が正確かどうか、きちんと客観的な根拠に基づいた言説なのかどうかということだけをチェックするのが、ファクトチェックの役割です」

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