「1分でも遅刻をしたら、3000円の罰金を給与から天引きする」、そんなルールがあなたの会社にあったら、どうしますか? 遅刻をさせないために、罰金制度を設けている企業もあるようですが、こうした社内ルールは、果たして認められるのでしょうか。
罰金が問題となる理由
そもそも、労働条件とは、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきもの(労働基準法第2条1項)とされ、一方的に労働者へ不利益を与える罰金制度を設けることはできません。
法律では、「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」(労働基準法第16条)と定めています。「遅刻で罰金」というのは、この規定に抵触するもので、金額の如何にかかわらず、認められません。これに違反すると、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金もあります(同法第119条1号)。
また、罰金を給与から天引きする、というのも問題といえます。賃金は、税金や社会保険料等の法定控除や労使協定によって定められたもの以外を差し引くことはできず、その全額を支払うことが定められているからです(労働基準法第24条1項)。これは労働者の意思の如何にかかわらず、賃金が現実に労働者に対して支払われることを確保することを目的としています。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら