クラスルーム内外にかかわらず、「あなたはどんな世界に生きているのか?」とつねに問われ続ける。今まで知らなかった世界に触れるほど、自分の無知に気づき謙虚になっていく。自分とは異なる立場、意見、経験を持っている人とかかわることで、世界に対する理解を深め、多くの人たちを理解しようと努めることにつながる。
小手先のスキルよりも
留学して約1年が過ぎた今、HBSが教えようとしていることを自分なりに考えると、「心あるリーダーシップ」ではないかと思う。ときに非情なビジネスの世界を舞台としながらも、決断を迫られたときは単に損得勘定だけで考えるのではなく、人間的な感情も考慮したうえで決断できる人材を育てようとしている。
そのためには、リンゴジュースを子供に与える親の気持ちも考えなければいけないし、リンゴジュース製造の仕事に心血を注ぐ従業員のことを考えなければいけない。必ず誰かが不幸せになってしまう決断を迫られたとき、自分の決断の根底にあるものを理解しようとする。そして、世界は自分が知るよりつねに広いものだと知り、謙虚な心を持って最善を尽くす。
HBSはビジネススクールなので、複雑なファイナンス理論や、最先端の企業戦略論なども教えている。しかし、HBSのミッションは「To educate leaders who make a difference in the world (世界を変えるリーダーを育てる)」。最も力を入れているのは、世界を変えるリーダーとしてふさわしい内面を持つ人材の教育だと私は考えている。
「資本主義の士官学校」と言われる場所で教えられるのは、小手先のスキルだけではない。自身への深い洞察や、周囲の人々の感情に想いを巡らせるといった、心あるリーダーシップ教育なのである。
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