日大と関学、一体どこで明暗が分かれたのか 「危機管理」への備えと対応の差が目立った
そうしている間にも、問題はアメフト部同士の問題に留まらず、日大そのもののガバナンスの問題にまで拡大しつつある。学長会見では、日大に長きにわたって君臨し、スキャンダルも多々ある元相撲部の理事長を引きずり出そうとする記者の発言も出た。
こうなってくると、今後世間やメディアは、日大のあらゆる問題を指摘してくるだろう。
日大はもはや、信用やブランドの毀損を食い止められないところにまで追い込まれてしまったといえるだろう。関学の3回目の会見後には、さすがにまずいと思ったのか、珍しく迅速に日大広報から紙面でのコメントが出た。その内容は「厳しいご批判に甘んじてお受けします」と、ある意味開き直りとも受け止められるコメントだった。
日大はもう何をしても非難される。一連の日大の対応は、広報スキルの事例としては、過去最悪級として歴史に残るに違いない。
危機管理への認識と対応が明暗を分けた
関学の信用や世間の評判は上がり、日大のそれは下がる一方と、まったく別方向に分かれてしまった。そして実際の加害者の日大選手は、みずから行った謝罪会見を機に、悪評をくつがえし、正直に語った勇気ある青年であるという評価を得て、全国から激励や、被害者から罪の軽減の嘆願書が出るまで信用を回復しつつある。加害者学生もまた、専門知識を持つ弁護士と事実確認を整理し、わかりやすく説明する練習など、十分な準備をした上で会見に臨んだ結果だろう。
日大、関学、そして加害者学生という三者の立場は、時代とともに高まる「危機管理」への認識があるかどうかによって、明確に分けられたのである。
実は大学というのは、社会経験のない若い学生達が在籍しているため、日頃から多くの問題が発生しやすい。危機管理アドバイザーである筆者がアドバイスをしてきた地方の小規模な大学でも窃盗、薬物、飲酒などの問題が何度か発生している。ましてや日大ほどの何万人と学生が在籍するマンモス大学なら、なおさら問題の発生件数は多くなるはずだ。
関学にしても同じで、過去に学生がさまざまな問題を起こしてメディアに取り上げられているのは、関西在住の人間なら記憶に残っているはずだ。どんなに準備をしていても問題は発生してしまう。これ自体は仕方ないことだ。
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