「鎌倉新書」の葬儀サービスはなぜ伸びるのか

楽天から転じた相木孝仁社長に聞く

村上:なるほど。わたしの理解では、御社の成長を支える基盤は高齢社会そのものであり、ターゲットがシニアだけにとどまらず、その家族にも向けられているのが大きな特徴です。シニアを支える家族のことを最も理解しているからこそ、供養サービス以外の新規事業の開拓が必要だと考えているわけですね。

相木:ええ。新規事業もネットを中心とした展開が前提ではありますが、一部ではリアルのサービスも含めて介護や医療、金融の分野に手を広げたいと考えています。無論、いくつかの介護施設を運営したからといって、世の中を変えられるものではないことは重々承知しています。現状の我々の規模でビジネスを展開するには、やはりネットにおけるマーケティングに特化しなければなりません。ただ、ネットだけでは70代、80代の大半の方に利用していただくのは困難ですから、リアルのサービスも不可欠となってくるでしょう。

村上:これまで御社のネット3事業は、非常に利益率が高いことが特徴的でした。しかし、特性の異なる新事業に取り組んでいけば、先行投資している部門と稼いでいる部門が混在し、全体的な利益率はおのずと低下していくのではないでしょうか?

相木:財務面や利益率、事業拡大のバランスについては、ジレンマが生じるのが宿命といいますか、非常に繊細な舵取りを求められるのは間違いないことでしょうね。ただ、我々のビジネスは世の中に対して「終活No.1」と宣言するには、あまりにも規模が小さすぎると思います。今までのペースの成長に甘んじていると、売上を100億円の大台に乗せるまでにはかなりの歳月を要することになるでしょう。一刻も早く100億円、200億円といった規模まで拡大させるためには、新規事業へのチャレンジが不可欠となってきます。

村上:東証1部への移籍に当たって公募増資を実施して現金も資本も相当増えて、B/S(バランスシート)が1年前とはガラリと変わっています。とはいえ、今後は採用に投資、M&Aを積極化していくとなれば、さらにB/Sを積み上げていく必要が出てきそうですね。

相木:そうですね。今年か来年には、自分たちよりもサイズの大きな企業をM&Aで獲得することもありえると思っています。特に何も投資しないのであれば、「どうして増資したの?」と問われることにもなりますし、もっとアグレッシブに攻めていくべき情勢にあるのは間違いないでしょう。

優秀な人材の獲得に注力

村上:2018年1月期決算説明資料では、「35期、36期に向けた既存・新規事業の成長戦略完遂の体制構築完了」と宣言されていましたね。体制固めについてはかなり自信をお持ちなのではないかと勝手に解釈したのですが、いかがでしょうか?

(鎌倉新書 平成30年1月期 決算説明資料より)

相木:もちろん、まだまだ不十分なところもありますが、2017年1月期の第4四半期時点で51名だった正社員を2018年の同期には77名まで増やしているように、優秀な人材の獲得を積極的に進めてきました。その結果、「これ以上、すごい人材がここに集まってきたら窮屈だから、家のお風呂のサイズ(=事業規模)をもっと大きくして大浴場かプール並みにしてほしい」という声が社内から出てくるようになりました。

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