「鎌倉新書」の葬儀サービスはなぜ伸びるのか

楽天から転じた相木孝仁社長に聞く

村上:なるほど。御社はあくまで第三者的な立場だから、ご利用者様も比較的気軽に見学の予約を入れやすいわけですね。

相木:その通りです。事業者が希望すれば、いくつか見学していただいた後で我々がご利用者様から感想を伺い、最終決定のアシストを行うことも可能です。そうすることでご案内後の成約率が向上すれば、事業者の満足度を高める結果につながりますし、我々としても今まで以上の拡大が見込めるようになるでしょう。

村上:一見する限り、御社のビジネスは事業者から手数料収入を得ているB to Bであって B to Cではありませんが、Cとも直接深く関わっていくことが大きな意味を持っているという話なのですね。

相木:ええ。我々はご利用者様からはお金をいただいておらず、ややもすると事業者のほうに目を向けがちになりますが、我々はつねにC(ご利用者様)側の視点を忘れないように強く意識しています。

供養に関する悩みは尽きぬが、相談先がないのが実情

村上:非常にセンシティブなテーマを取り扱っているビジネスであるだけに、事業者側もC側の視点を持たないと上手くいきませんよね。もともと御社が今のビジネスを展開する前から、この分野ではBとCの間に丁寧な関係性というものが存在していたのでしょうか?

相木:いろいろな事例があるので、一概には言えません。ただ、メディアでよく取り上げられている議論はちょっと偏りすぎていると個人的には感じています。たとえば「今までは料金体系がブラックボックス化されたグレーな世界だったが、ついに低価格で定額制の葬儀サービスが登場した」という話題が注目を集めていることなどです。そういったサービスに対するニーズが存在していることはまったく否定しませんし、シンプルでわかりやすく、訴求力もあると思います。ただ、その一方で生前にお付き合いが広かった故人を弔うというケースでは、相応の規模と予算で葬儀を行う方が、ご遺族が満足する形の葬儀になるはずです。結局、個々のご利用者様のニーズに応じて、適切にマッチングのお手伝いをすることが我々の使命だと思っているのです。

村上:Amazonでも僧侶の手配ができる時代になっているからといって、便利さや価格の安さだけで業界全体の課題が解決するわけではないということですね。葬儀やお墓、その後の供養に関しては、明らかにノウハウを得る機会が少なく、利用者も困っています。だからこそ、C側へ付加価値を提供していくように努めなければ、業界全体がフェアな状態になっていかないのでしょう。

相木:ご利用者の皆様は悩みだらけであるにもかかわらず、誰に相談すればいいのかもわからない状況にあります。その一方で、ほとんどの石材店や葬儀社はご利用者様のために心底から親身になって対応しています。我々としては、こうしたBとCの両方を手厚くサポートしていきたいと思っています。

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