「鎌倉新書」の葬儀サービスはなぜ伸びるのか 楽天から転じた相木孝仁社長に聞く
村上:贅沢な悩みですね。では、その精鋭たちで新規事業についてどのように知恵を絞っているのでしょうか?
相木:普通の人が聞けば「なるほどね!」と思えるサービスに、さらにひとひねり加えた内容のものを作り出そうとしています。当社の清水は右脳で思考して新しいことにどんどん挑戦していくタイプですが、彼の先見性やクリエイティビティを活用し、組織力・徹底力といった私自身の持ち味を加えて、スケーラブルな新規事業を立ち上げていきたいです。
村上:新規事業については、どれくらいのスピード感で取り組んでいく方針ですか?
相木:今、社内で公言しているのは、「1四半期に1つ」というペースですね。社内で構築中のものに加えて、M&Aの候補として外で探しているのもあります。すべてが当たるわけではないでしょうが、数を増やしながら改善を重ねていきたいと考えています。
村上:短い時間軸で黒字化できるかどうかが見極めのポイントとなってくるわけですね。しかしながら、それだけのペースで進めていくと、2年後には8つとか10といった数まで増えているかもしれない。となれば、全事業のポートフォリオ(内訳やバランス)についてコントロールを図っていく必要も出てきそうですね。
相木:人生における終末期に近いことに関わってくるサービスとアクティブシニアに向けたサービスのそれぞれに、バランスよく取り組んでいきたいと考えています。
村上:その点に関しても、中期経営計画においてもう1つのキーワードとなっている「会社横断の開発室」の設置が重要な意味を帯びそうですね。
相木:かつては事業ごとにエンジニアがポツポツと点在していただけにすぎませんでした。サービスの内容やターゲットとしている世代からすれば、最先端のテクノロジーはあまり必要とされていないのも事実ではあるものの、あまりにもエンジニアが少なかったのは確かです。
「人が資産」と公言する会社
村上:御社の収益構造を見ていると、開発チームの人員が少ない割に、コストの半分程度を人件費が占めているのがとても特徴的ですね。日頃から「人が資産だ」と公言されていて、決算説明資料の表紙にも社員が登場しているのが極めて斬新でした。
相木:表紙については社内でも意見が分かれて、「それをやりますか!?」というリアクションがあったのも確かです。
村上:いえいえ。非常に御社らしいといいますか、個人的には、ぜひ今後の決算においても定番化していただきたいと思いました(笑)。ところで、これまで数々の企業を指揮してきた相木さんですが、上場企業のトップとなるのは初めてで、資本市場との対話も求められることになりましたね。やはり、今までとは違うと感じられているのでしょうか?