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今回は、大阪から世界にアウトドア用品を発信し続ける元気企業を取り上げます。
モンベルの創業者・辰野勇会長は、筆者にとって、とても不思議な人でした。21歳の時、アイガー北壁登攀(とうはん)に成功。そんな世界有数のアルピニストが、28歳の時、1人で登山用品メーカーを起業します。それが40年後の今、グループ年商750億円、従業員970名を誇る「モンベル」になりました。
なぜ一流の経営者になれたのか
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一流といわれる人は誰も、天賦の才能、人一倍の努力、そして時代をも味方につける強運の持ち主であることは知っています。しかし、アウトドアで必要とされる能力と、社長の執務室で発揮されるべき能力は、180度違うような気がします。
アイガー北壁登攀が生半可な努力ではできないのと同様、会社の経営も血のにじむような苦労があるはずです。その2つを見事に達成している辰野会長には、いったいどんな秘密があるのでしょうか。
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かねがねそう思っていた筆者にとって、願ってもない機会が訪れました。大阪で、辰野会長が日本人初のカヌーのオリンピック・メダリスト羽根田卓也選手と対談するというのです。
主催者(小林昭雄大阪大学名誉教授)のご厚意で、12月9日に行われた両者の対談を間近で傍聴させてもらいました。辰野会長は、日本レクリエーショナルカヌー協会の会長などカヌーの各種団体の要職を務めているので、カヌー銅メダリストの羽根田選手は、まさに格好の対談相手でした。
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