「鎌倉新書」の葬儀サービスはなぜ伸びるのか 楽天から転じた相木孝仁社長に聞く

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村上:入社前にイメージしていた会社像と、実際に働いてみての感想との間には何らかのギャップがありましたか?

相木:想像していた以上に、魅力的な人が集まっている会社だと感じましたね。それはスキルセットのみならず、マインドセットにおいても言えることです。企業理念に惹かれて、人のためになりたい、人から学びたいと真摯に思いながら頑張っている社員が多いのです。

ただ、いろいろな意味でまだ磨かれていない部分もあるので、みんなで鍛錬してさらに成長していくことが求められているとも思いました。

村上:現在の主軸事業を立ち上げたという意味では実質的な創業者とも言える清水前社長に対しては、どのような印象を受けたのでしょうか?

相木孝仁(あいき たかひと)/1972年、北海道生まれ。明治大学政治経済学部を卒業してNTTに入社し、通信機器販売事業に従事した後、米国コーネル大学ジョンソンスクールにてMBAを取得後、ベイン・アンド・カンパニーへ入社。カルチュア・コンビニエンス・クラブに移籍してツタヤオンライン事業を担当し、軌道に乗せてからベイン・アンド・カンパニーへ復帰。2007年に楽天に移籍し、グループ傘下となったフュージョン・コミュニケーションズの経営を再建。その後、楽天常務執行役員、Rakuten Kobo, Inc CEO、Viber Media Limited 取締役会長などを歴任し、2017年4月に鎌倉新書へ入社(写真:Signifiant Style)

相木:私はカルチュア・コンビニエンス・クラブの増田宗昭さんや楽天の三木谷浩史さんの下で働いてきましたし、彼らのところに集まってくる個性的なキャラクターの創業経営者たちとも接してきました。

だからというわけではありませんが(笑)、「この人となら長く同じ仕事に取り組んでいけそうだ」と感じました。清水と私は、キャラクターがまったく異なります。清水は新しいことが大好きで、右脳で思考して10手先の手を打っていくタイプです。もちろん、私も新しいことに挑んでいくことも大好きですが、ビジョンを示し、社員の意欲を高め強い組織を作ることが得意です。

村上:キャラクター以外の部分では、どういったところにタッグの組みやすさを感じましたか?

相木:とかく創業者は、「今のビジネスを築き上げた自分が、例え全く新しい事業であっても、会社のことを最もよくわかっている」という思いを抱きがちです。清水は、今のビジネスをさらに10倍、20倍の規模まで成長させられると確信しているものの、それをすべて自分自身でやってのけようとは思っていないのです。

オーナーシップを持ちながら、人を信じて任せるところは任せるスタイルなので、私としても非常に仕事を進めやすいですね。

石材店や仏壇店、葬儀社と利用者をネットでマッチング

村上:御社が展開している事業について、改めて簡単にご説明いただけますでしょうか?

相木:出版ビジネスは売上の1割弱で、メインは3つのネット事業で、規模としてはお墓、葬祭、仏壇の順になっています。3つともビジネスモデルは共通しており、石材店や仏壇店、葬儀社を営む事業者と、それらの利用を考えているご利用者様をマッチングさせるというもの。3つのいずれにおいても、事業者とご利用者様はそれぞれ悩みを抱えていたのが実情です。まず、事業者は特に都市部において、ご利用者様をなかなか見つけられなくて困っています。

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