がんばれ!? 元気の出るベーシックインカム

議論には社会保障の正確な理解が欠かせない

若者を中心にネットでベーシックインカムへの関心が高まっている(写真:cba/pixta)

今は昔、2009年に政権を獲った民主党の本部には、「いつから私の年金が月額7万円になるのでしょうか」との問い合わせが殺到していたらしい。民主党はマニフェストに「7万円の最低保障年金」と書いていたのだから、問い合わせしたくなる気持ちもわかる。しかし民主党は、政権の座にあった3年3カ月の間、この案を一歩も先に進めることはできなかった。2011年5月には、どれほどの額が必要になるのかを秘密裏に試算しているが、それにかかわった幹部たちはそのあまりにも非現実的な結果に驚いて試算を封印した(リークされて、国会でたいへんな騒動にはなったが)。

7万円の最低保障年金をマニフェストに書いた民主党でさえもこの案を葬ったのは、財源の問題もあるが、制度・政策の細部に宿る種々の問題に気づかされたからでもあった。とはいえ、民主主義というのは実に忘れっぽい。ゆえに、今では、7万円の最低保障年金の帰趨を知る者は少なくなっている。そしてこの話が、ベーシックインカムに関連して語られ始めたりもしている。

ベーシックインカムと社会保障の違い

7万円の最低保障年金は、もちろん、ベーシックインカムと呼べる代物ではない。というのも、ベーシックインカムとは、①人が生活を営むのに必要な額の基礎的な生計費の水準を、②国民全員に、年齢や性別、婚姻状態、雇用状況にかかわらず、権利として支給するというものだからである。今ここでは、①をベーシックインカムの給付水準条件、②を給付対象条件としておこう。

①を意識した給付を行っているのは、憲法25条に基づく生活保護である。通常、ベーシックインカムは、生活保護に付随するミーンズテスト(資力調査)をなくすことができるメリットとともに議論される。確かに、ミーンズテストは、行政コストがかさみ、受給者にはスティグマ(汚名の烙印)も伴い、そのうえ、働くほど給付が減る仕組みを持っているから「貧困のわな」も招く。そうしたミーンズテストを行わざるを得ない生活保護が、社会保障の主な役割であるのならば、やはり抜本的な改善を求めたくなる。

ここで、クイズ――テレビなどでよく取り上げられる生活保護の給付費は、社会保障給付費の30%、40%、50%、それに「該当なし」という4つの選択肢のうち、どれだろうか?

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